政策提言:「アブラキサン供給停止に関する要望書」を提出

 2021年8月26日

本日、「アブラキサン供給停止に関する要望書」を大鵬薬品工業株式会社に提出しました。

アブラキサンのような膵臓がん患者にとってのエッセンシャルメディスンが 海外の工場停止のために国内で供給ができなくなった場合、治療継続中の膵臓がん患者さんだけでなく、アブラキサンを使っている肺がん、胃がん、乳がん患者さん、さらに多くの医療関係者にも影響が及ぶ大きな社会問題となります。本日、NHKニュースもこの件について報道していますが、特に影響を受けるのがパクリタキセルという代替品のない膵臓がん患者さんです。予後の厳しい進行性膵臓がん患者さんは、ファーストライン治療薬としてアブラキサンを使っているため、供給停止の影響で治療が継続できなくなることは、生命損失の可能性もある社会倫理的な大問題です。下記の要望書に記載されている通り、患者、家族の不安を取り除き、治療継続に支障が生じないように速やかに実効性のある対応を要望しまました。

製薬企業としては、このような大勢のがん患者さんの命をあずかるエセンシャルメディシンに欠品が起こらないよう、その対応策を十分準備しておくことが必要です。また、今後、同じような事態が製造工場で発生したとしても、製薬企業の迅速な対応により供給停止とならないよう対策をとっておくことが大切です。今回のように、海外に複数の工場がある場合には、他の工場から同じ効能効果をもつ薬剤を緊急輸入し、販売供給できるような体制作りをしておくことは重要なリスクマネジメントの対策と考えます。

他の工場からのアブラキサンの緊急輸入の実施も含めて、大鵬薬品工業株式会社に下記の通り、要望させていただきました。

 

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2021年8月26日

「アブラキサン点滴静注用100㎎」供給停止に関する要望

大鵬薬品工業 代表取締役社長
小林 将之 殿

 いつも膵臓がん患者に対してご高配を賜り感謝申し上げます。

 さてこのたびの「アブラキサン点滴静注用100㎎供給停止」問題に鑑み、膵臓がん患者支援を本務とする我々NPO法人パンキャンジャパンでは以下の3点を要望する次第です。速やかにご検討、実行いただけますようお願い申し上げます。

1) 安定供給の早急な復活を内容とする緊急ステートメントを患者向けに発出すること。
2) 今般の「アブラキサン点滴静注用100㎎」の供給停止の原因となった米国アリゾナ州フェニックス工場とは別のイリノイ州メルローズパーク工場で製造される「アブラキサン点滴静注用100㎎」を日本市場向けに提供するよう米ブリストル・マイヤーズ スクイブ(アブラキシスサイエンス社)に働きかけ、緊急輸入すること。
3) フィニックス工場にて同様な問題が発生しても、2度と供給停止が起こらないようリスクマネジメントの対策をたて患者向けに発出すること。

 言うまでもなく「アブラキサン点滴静注用100㎎」はわが国では膵臓がん、胃がん、乳がん、肺がんの治療に用いられていますが、その65%は膵臓がんの治療に用いられています。8月26日に発出されたがん関連主要6学会の「合同声明」が言及しているように、胃がん、乳がん、肺がんではパクリタキセルに切り替えるなどの処置をとることが可能ですが、膵臓がんでは代替する治療薬がありません。
つまり、進行性膵臓がんを含む多くの膵臓がん患者が「アブラキサン点滴静注用100㎎」の使用によって生存を確保している現実があります。今般の「アブラキサン点滴静注用100㎎供給停止」問題は患者、家族にとって寝耳に水の事態であり、大きな不安と動揺を与えております。患者、家族の不安を取り除き、治療継続に支障が生じないように速やかに実効性のある対応を要望する次第です。

                       NPO法人パンキャンジャパン
                       理事長 眞島喜幸

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