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海外ニュース:膵臓がん早期発見のための2種類の血液検査

著者:アリソン・ローゼンツヴァイク博士

2021年9月10日

■膵臓がん早期発見のための血液検査

現在、アメリカでは、膵臓がんの症状がでてくる前、または他の画像診断などの検査法で膵臓がんが診断される前に膵臓がんを早期に検出できる可能性のある2つの血液検査が利用可能となりました。

1つの検査はグレイル社(GRAIL)のガレリ検査(GalleriTM)は、膵腺がんや膵神経内分泌腫瘍など、50種類以上の癌の存在を示すことができます。もう1つの検査はイミュノビア社(Immunovia)のイムレイ・パンキャンデー検査(IMMray®PanCan-d)で、家族歴や遺伝的変異により膵臓がんの発症リスクが高いと考えられる人々が利用できる膵臓がん(膵腺がん)に固有の初めての血液検査です。

現在、どちらの血液検査もFDAによって承認されていないため保険が適用されません。両社は認定ラボで検査の解析をしています。どちらの検査も一回あたり約1,000ドル(約12万円)の費用がかかりますが、お支払いプランが利用できる場合があります。これらの血液検査は確定診断を提供するものではなく、癌の存在を示す独立した指標でもありません。現在膵臓がんのスクリーニング研究またはサーベイランス研究に参加している人々は、これらの血液検査が参加している研究プログラムに組み込まれるかどうかを調べたいのであれば、ヘルスケアチーム並びに研究スタッフと話すことが奨励されます。

ガレリ(Galleri)検査またはイムレイ・パンキャンデー検査(IMMrayPanCan-d)に興味がある方は、ヘルスケアチームに相談して、これらの検査が自分に適しているかどうかを判断し、検査を注文してもらってください。 PanCAN本部の患者支援サービスでは、これらの血液検査に関する情報とリソース、および膵臓がんを診断する他の方法についての情報を提供することができます。

■イミュノビア社のイムレイ・パンキャンデー検査について知っておくべきこと

この血液検査は、すべての人が利用できるスクリーニングツールではありません。 イムレイ・パンキャンデー検査で検査できるのは、家族歴または膵臓がんに関連する既知の遺伝子変異のために膵臓がんの発症リスクが高い人だけです。検査を注文するには医師の許可が必要です。
イムレイ・パンキャンデー検査は、CA19-9を含む血液中の9つのバイオマーカーを測定します。これらのバイオマーカーは、がん細胞の存在と、腫瘍に対する免疫系の反応を示すことができるので、患者に膵臓がんを示す可能性のあるバイオマーカーの特徴があるかどうか、または結果が「境界線」と見なされるかどうかを確認できます。
あなたの体がCA19-9を生成する場合にのみこの検査を使用することができます。イムレイ・パンキャンデー検査があなたの体がCA19-9を生成しないことを示した場合、あなたの血液サンプルを使って検査することはできません。そのため、料金は請求されません。
検査は医師から依頼され、検査キットは自宅に送付されます。訓練を受けた採血の専門医療関係者が自宅を訪問し血液サンプルを採取します。イミュノビア社は、血液サンプルを受け取ってから1週間以内にテスト結果を医師のオフィスに送付されますので、医師からテスト結果についての説明を受けることができます。
この血液検査は、現在5つの州を除く、アメリカのすべての州で利用できます。ニューヨーク、カリフォルニア、メリーランド、ペンシルベニア、ロードアイランドではまだ利用できません。

 

■グレイル社のガレリ検査(GalleriTM)について知っておくべきこと

ガレリ検査は多数のがんを検査できる血液検査です。ガレリ検査は、がん細胞から放出される遺伝物質(DNA)に基づいて、50種類のがんの存在を検出できます。結果は、DNA上の特定のマーカーに基づいて、体内のどこで癌が発見される可能性があるか(膵臓など)を示すこともできます。この検査は一般の人々をスクリーニングするためのものではなく、医師が発注する必要があります。
ガレリ検査は、50歳以上など、がんのリスクが高い成人を対象としています。人々は1つだけではなく、いくつもの種類の癌を発症するリスクを高める遺伝的変化を伴って生まれてきた場合、この検査を選ぶかもしれません。特異度は99.5%で感度は76.3%です。ガレリ検査の偽陽性のリスクが非常に低いため、不要な診断検査であるとか、患者の不安を最小限に抑えることができます。
採血キットは医師によって注文され、医師のオフィスまたは患者の自宅に発送されます。医師が採血を手配し、キットを会社に返却します。結果は約14日で入手可能になります。ガレリ検査で「CancerSignalDetected」の結果が出た後の診断評価で癌が確認されなかった場合、患者はガレリ検査で無料の再検査を受ける資格があります。再検査のリクエストは、患者の診断評価を管理する医師が行う必要があります。再検査は、最初のガレリ検査から3〜6か月以内に実施する必要があります。再検査のリクエストをするには、医師はグレイル社の担当者、またはカスタマーサービスに連絡する必要があります。2021年9月20日現在、ガレリ検査は全米のすべての州で利用できます。

初期段階で膵臓がんを診断することは、手術を含むより多くの治療選択肢とより良い生存率につながる可能性があります。家族歴、人種(民族性)、喫煙、糖尿病、肥満、年齢などの特定の危険因子は、膵臓がんになる可能性を高める可能性があります。膵臓がんは、漠然とした原因不明の症状を引き起こす可能性があります。かゆみを伴う、または伴わない痛み(通常は腹部または背中)、体重減少、黄疸(皮膚および/または眼の黄変)、食欲不振、吐き気、便の変化、膵炎および最近発症した糖尿病などは、膵臓がんの可能性があります。これらの症状の1つまたは複数が発生している方は、すぐに医師に相談し、膵臓がんについて検査してもらうことをお勧めします。

PanCAN本部は、早期発見イニシアティブ(EDI)という早期発見プロジェクトをスタートしました。対象となるのは、血糖値と体重の急激な変化を経験し、50歳を過ぎて糖尿病と診断された人々で、膵臓がんを患っている可能性があります。 PanCAN本部の早期発見イニシアチブの参加者は、参加している医療機関の電子カルテのデータを通して特定されます。参加者のサブセットは、モニタリングのために画像検査を受け、将来のバイオマーカーを発見するための血液サンプルを提供します。

すべての膵臓がん患者が繁栄できる世界を作るという私たちのビジョンを達成するために、PanCAN本部では、新しい、より良い治療選択肢と、改良された早期発見戦略につながる研究に資金を提供し実施しています。今回、紹介された2種類の新しい血液検査は、この目標に向けた重要な一歩となる可能性があります。

 

■追加情報:PanCAN本部の患者相談サービス・ケースマネージャーに相談する

PanCAN患者相談サービスでは、膵臓がんの発症リスク、検査、および膵臓がんの検出、治療、管理に関するその他の情報とリソースを提供しています。追加情報については、次なるURLを参照ください(英語版)。
https://www.pancan.org/facing-pancreatic-cancer/about-pancreatic-cancer/risk-factors/

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