AACRニュース:熱でがん細胞を除去する
~ある種の肝臓がんでは、手術と同程度の効果があり、副作用も少ない可能性があります~
リサ・カースレイク 著
2026年3月12日
小さな肝臓がんの腫瘍がある方は、腫瘍を取り除くために手術を受けることが一般的です。しかし、ラジオ波焼灼療法(RFA)と呼ばれる、熱でがん細胞を破壊する低侵襲の治療では、より少ない副作用と短い回復期間で、手術と同様の結果が得られる可能性があります。
SURF試験では、日本で最も一般的な肝臓がんである肝細胞がん(HCC)の患者さん1,055人を対象に追跡調査が行われました。このうち302人が無作為に割り付けられ、手術またはRFAのいずれかの治療を受けました。
2025年6月24日に『Journal of Clinical Oncology』誌に発表された結果によると、治療から5年後の生存率は、手術を受けた方で74.6%、RFAを受けた方で70.4%でした。また、5年無再発生存率もほぼ同等であり、手術群が42.9%、アブレーション群が42.7%でした。これらの結果から、どちらの治療法が優れているかを示す明確な証拠は得られなかったと研究者は結論づけています。
副作用については、手術を受けた方の3.3%に胆汁漏出などの副作用が見られました。胆汁漏出は腹痛や感染症を引き起こし、重症化する可能性もあります。一方で、アブレーションを受けた方では副作用の報告はありませんでした。なお、腫瘍が血管や胆管の近くにある場合は副作用が起こりやすいとされていますが、東京大学医学部附属病院の長谷川潔医師によると、本試験ではそのようなケースは含まれていなかったとのことです。
また、入院期間は手術を受けた方で平均17日間、アブレーションを受けた方で平均10日間と、アブレーションの方が短い結果となりました。
研究の一環として、残りの753人の患者さんは手術かアブレーションのいずれかを選択しました。このグループでは、5年無再発生存率は手術群の方がやや高かったものの(47.2%対37.5%)、5年生存率はほぼ同等でした(79.8%対78%)。長谷川医師は「SURF試験の結果は、外科的切除とRFAが早期の肝細胞がんに対する局所治療として同等に有効であることを示唆しています」と述べています。
なお、切除や焼灼の技術は進歩しており、現在ではラジオ波焼灼療法(RFA)に代わってマイクロ波焼灼療法(MWA)が用いられることも増えています。どちらの方法も、体内に細い器具(プローブ)を挿入し、腫瘍に熱を加えてがん細胞を死滅させる治療です。RFAは電流によって熱を発生させるのに対し、MWAはマイクロ波エネルギーを用いるため、より速く均一に加熱できるという特徴があります。
Bose医師によると、腫瘍が3センチを超える場合や複数ある場合には、手術の方ががんを取り除ける可能性が高いとされています。一方で、腫瘍が3センチ以下で血管から離れている場合には、焼灼療法の方が副作用を抑えながら病気をコントロールできる可能性があります。
ただし、本試験の参加者の多くは単一の腫瘍を持つ患者さんであったため、複数の腫瘍がある場合にアブレーションがどの程度有効かについては、まだ十分に分かっていません。また、日本と米国では肝細胞がんの主な原因が異なるため、この結果がそのまま他国の患者さんに当てはまるとは限らない点にも注意が必要です。本試験では、参加者の約4分の3がC型肝炎に罹患していましたが、肥満に関連した肝がんの場合は、長期的な予後に影響する合併症を抱えている可能性があると指摘されています。
腫瘍が小さくても、肝機能の低下や高齢などの理由で手術が難しい場合には、Bose医師は焼灼療法のような低侵襲治療について主治医と相談することを勧めています。
「手術が難しい方にも、延命につながる可能性のある選択肢があります。私たちは、誰からもがんから生還する機会を奪いたくありません」とBose医師は述べています。
記事ここまで。
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米国パンキャン本部の代表ジュリーフレッシュマン氏、NPO法人パンキャンジャパンの眞島喜幸氏は、米国癌学会AACR Cancer TODAYの編集諮問委員です。Cancer Todayの記事は、編集諮問委員の提案により執筆されています。
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