危険因子(リスクファクター Risk Factor)

膵臓がんの正確な原因はまだよく理解されていません。研究では、膵臓がん発症の可能性を増加させる特定の危険因子が同定されています。次の表では、膵臓がんに関連する危険因子をいくつか説明します。

危険因子  
喫煙 喫煙は重要な危険因子であり、すべての膵臓がんの症例の約20〜30%の原因になっている可能性があります。タバコを吸う人は吸わない人より膵臓がんを発症する可能性が2倍になります。
年齢 年齢とともに膵臓がんを発症する可能性が増加します。膵臓がんと診断されたほとんどの人が60歳以上です。
家族歴 母親、父親、兄弟、または子供に膵臓がんが発症した場合、自分が膵臓がんになる可能性は2〜3倍になります。より多くの家族が膵臓がんになれば、他の家族が膵臓がんになるリスクは増加します。家族性乳がんまたは結腸がん、家族性黒色腫、または遺伝性膵炎の病歴がある場合、膵臓がんを発病するリスクが増大します。膵がん症例の約10%は、家族歴に関係していると言われています。喫煙する人で膵臓がんの家族歴もある人は、膵臓がんと以前診断された家族(複数可)よりも最大10才以上早く膵臓がんを発症する危険性があると言われています。
慢性膵炎 慢性膵炎の人は、膵臓がんを発症するリスクが高くなります。慢性膵炎は、長年にわたってアルコールを大量に消費する人に多くみられる病気です。おたふくかぜのウイルス、様々な自己免疫疾患は、慢性膵炎を起こす可能性があります。遺伝性膵炎は一般の人が20歳までに経験する膵臓の炎症の再発の原因となる可能性があります。膵臓がんを発症するリスクは、遺伝性膵炎を有する人においてはさらも高くなります。
人種別 アフリカ系アメリカ人は、アジア人、ヒスパニック、または白人系の人と比較して、膵臓がんの発生率が高い。アシュケナージ系ユダヤ人には膵臓がんの発生率が高いことが知られています。このような人々の約1%には乳癌(BRCA2)遺伝子を含む遺伝子変異がみられます。
性別

男性は女性よりも多く膵臓がんと診断されています。これは男性の高い喫煙率に関連付ることができるかもしれません。

糖尿病

膵臓がんは、5年以上糖尿病を経験している人に発生する可能性が高くなります。研究によると、50歳以上で新たに糖尿病を発病した場合、それは膵臓がんの初期症状であることを示唆しています。以前によく制御された糖尿病の患者において、血糖値が急激に悪化した場合も膵臓がんの徴候である可能性があります。

食事

食事と膵臓がんの発症の関連性はまだ不明です。赤色および加工肉の多い食事は、膵臓がんを発症するリスクを増大させると考えられています。果物や野菜の多い食事は、膵臓がんの発症リスクを低下させることがあります。

肥満 肥満の人は正常体重のある人々に比べて疾患を発症するリスクが20%も高くなります。若年性成人期の肥満は、膵臓がんのリスクがさらに高くなります。腹部に過剰な脂肪を持つ人は、一般的な肥満とは関係なく、膵臓がんになるリスクが高くなります。

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