AACRニュース:米国癌学会AACR 2023のハイライト
AACRニュース:米国癌学会AACR 2023のハイライト
2023 年 4 月 24 日
世界中の科学者は、がんの成長、分裂、転移を引き起こす分子メカニズムを解明するために熱心に研究に取り組んでおり、患者の寿命を延ばし、これらの病気の一部を治す可能性さえある、より良い治療法を開発するのに役立てています。
2023 年の米国癌学会 (AACR) 年次総会ではこれらの科学者の努力が発表されました。ご存知のように、膵臓がんは最も治療が難しいがんの 1 つですが、科学がこの致命的な悪性腫瘍をより効果的に治療できるものに変えようとしていることが明らかになりました。ここでは米国癌学会2023のハイライトをいくつか紹介します。
■KRASを倒す
2021 年に KRAS-G12C 変異を有する非小細胞肺がんを治療するためのソトラシブ( 一般名Sotorasib、商品名Lumakras) が承認されたことで、KRAS は創薬不可能な発がん遺伝子から創薬可能な治療標的に変わりました。この医薬品の承認は、がんの研究と治療に一夜にしてセンセーションを巻き起こしました。 KRAS 変異を直接標的とすることで、全ヒトがんの約 4 分の 1 に対する効果的な治療法を研究するための準備が整いましたが、その興奮によって、より冷静な現実が見えなくなることがあってはいけません。ソトラシブとそれに続く KRAS 標的薬剤は、数十年にわたる骨の折れる基礎および応用がん研究の成果だからです。
免疫療法と標的療法の最近の進歩により、多くの患者の転帰が大幅に改善されてきました。しかし、これらの進歩は RAS 変異腫瘍を有する患者の転帰改善にはまだ限定的であると、ニューヨーク大学ランゴンヘルスの生化学および分子薬理学の教授であるダフナ・バー・サギ博士(Dafna Bar-Sagi, Ph.D.)は注意を促します。しかし、KRASの状況は、RAS を直接標的とする治療法の出現と免疫介入技術の改善により劇的に変化してきているのも事実です。