海外ニュース:RASolute 302試験が募集を開始
海外ニュース:RASolute 302試験が募集を開始
~KRASおよびその他のRAS変異を対象とした国際多施設共同試験~
2025年5月28日
著者:ハニ・バビカー博士
膵がん患者の最大90%に存在するKRAS変異を標的とする方法の探索は、長年多くの研究の焦点となっています。
オンコゲン(oncogene)は、細胞の増殖や分裂に関与する遺伝子で、変異すると健康な細胞をがん細胞に変える可能性があります。
編集注:「オンコゲン」は、細胞のがん化(腫瘍形成)を促進する遺伝子です。正常な細胞の増殖や分化を制御する「原がん遺伝子(proto-oncogene)」が、突然変異や染色体異常などによって活性化され、がん細胞の異常な増殖を引き起こすようになった状態を指します。
RASは最も一般的なオンコゲンであり、KRASはRASオンコゲンの特定のタイプです。RASは、その特異的な滑らかな構造のため、小分子が表面に結合しにくいことから、かつて「薬物標的化が困難」とされてきました。さらに、RASの多くのがんを引き起こす変異は、タンパク質が常に活性状態になる結果をもたらされます。または、より単純に言うと、これらは「オン」状態に固定され、RAS(ON)と呼ばれています。そして、これらをオフにできる薬の開発は困難でした。
しかし、それは過去の話です。継続的な研究により、RASは確かに「薬物標的可能」であることが証明され、現在、2つのRAS阻害剤が承認されており、さらに複数の候補が試験中です。「私たちはかつて、RASを標的とするのは不可能だと考えていました。しかし、RASを標的とし、潜在的にその機能を停止させることができれば、特に膵がんにおける患者さんの治療選択肢が大幅に拡大されることを知っていました」と、RASolute 302試験の主要研究者であるハニ・バビカー医師は述べています。この試験では、転移性膵がん患者を対象に、RAS(ON)阻害剤と標準治療の化学療法を比較しています。