海外ニュース:FDAがDaraxonrasib(ダラキソンラシブ)の新薬承認申請を受理
海外ニュース:FDAがDaraxonrasib(ダラキソンラシブ)の新薬承認申請を受理
― 膵臓がん治療に新たな希望 KRASを標的とする画期的な新薬が実用化へ大きく前進 ―
2026年7月22日、米国のバイオ医薬品企業Revolution Medicines社は、既治療の転移性膵管腺がん(PDAC)を対象とした新しい分子標的治療薬Daraxonrasib(ダラキソンラシブ、開発番号:RMC-6236)について、米国食品医薬品局(FDA)が新薬承認申請(NDA)を受理し、本格的な審査を開始したと発表しました。
これは、膵臓がん患者さんにとって非常に重要なニュースです。Daraxonrasibは、膵臓がんの原因となるRASシグナルを直接標的とする新しいタイプの治療薬であり、現在世界で最も期待されている膵臓がん治療薬の一つです。
◆Daraxonrasibが注目される理由
膵臓がんの約90%では、KRAS遺伝子に変異が見つかります。KRASは細胞の増殖を調節する重要な遺伝子ですが、変異が起こると細胞に「増え続けなさい」という指令を出し続け、がんが進行します。しかし、このKRASは長年「創薬不可能(Undruggable)」と呼ばれ、有効な治療薬を開発することが極めて難しい標的とされてきました。
近年になってようやくKRASを標的とした薬剤が開発され始めましたが、多くは特定のKRAS変異(G12C)だけを対象としていました。一方、DaraxonrasibはRAS(ON)マルチセレクティブ阻害薬と呼ばれ、膵臓がんで多く見られるKRAS G12D、G12V、G12Rなど幅広いRAS変異を標的とできるよう設計されています。
◆第III相試験で生存期間を延長
今回の承認申請は、国際共同第III相試験「RASolute 302」の結果に基づいています。この試験では、すでに治療を受けた転移性膵臓がん患者さんを対象にDaraxonrasibと標準化学療法を比較しました。
その結果、Daraxonrasibは主要評価項目をすべて達成し、全生存期間(Overall Survival:OS)の延長と無増悪生存期間(Progression-Free Survival:PFS)の延長という極めて重要な成果が得られました。
さらに、患者さんから報告された評価(Patient-Reported Outcomes)では、がんによる痛みの悪化を遅らせ、健康状態(Global Health Status)の低下を抑え、さらに生活の質(Quality of Life:QOL)の悪化を遅らせたことも示されています。これは、単に長く生きるだけでなく、「より良い生活を維持しながら治療を続けられる可能性」を示す重要な結果です。
◆FDAも高く評価
Daraxonrasibは、FDAからすでにBreakthrough Therapy Designation(画期的治療薬指定)と Orphan Drug Designation(希少疾病用医薬品指定)を受けています。
さらに今回は、FDAのNational Priority Voucher Programにも選定されました。この制度は、国民の健康に大きく貢献すると期待される新薬について、審査を迅速に進めるための特別な制度です。
欧州でも、欧州医薬品庁(EMA)が段階的審査(Phased Review)を開始しており、世界各国で実用化へ向けた手続きが進んでいます。
◆日本の患者さんへの期待
今回の発表は、米国での承認審査が始まったことを意味します。承認されたわけではありませんが、実用化へ向けて大きな前進であることは間違いありません。一方、日本では今後、国内での承認申請や審査、保険適用に向けた手続きが必要となります。膵臓がんは進行が速いがんであるため、新しい治療薬が海外で承認されても日本で利用できるまでに時間がかかる「ドラッグラグ」や、日本で開発・承認そのものが行われない「ドラッグロス」が課題となっています。この革新的な医薬品に関しては、日本の先駆的新薬申請制度(6か月の審査期間)を利用できますが、米国申請時(7月22日)から3か月以内に申請しなければなりません。
◆PanCAN Japanからのメッセージ
Daraxonrasibは、膵臓がん治療の歴史を大きく変える可能性を秘めた新しい分子標的薬です。第III相試験で全生存期間と無増悪生存期間の改善が示されたことは、膵臓がん領域における大きな前進と言えるでしょう。しかし、世界で新しい治療法が実用化されても、日本の患者さんが速やかにその恩恵を受けられなければ、本当の意味での医療の進歩とは言えません。
PanCAN Japanは、「早期発見」「革新的な新薬への迅速なアクセス」を2つの柱として活動しています。Daraxonrasibをはじめとする革新的な治療薬が、一日でも早く日本の膵臓がん患者さんに届けられるよう、今後もドラッグラグ・ドラッグロス問題の解消に向けた提言活動を続けてまいります。今回のニュースは、膵臓がん治療が新しい時代へ向かって着実に進んでいることを示す、希望に満ちた一歩と言えます。
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Resource: https://ir.revmed.com/node/13261/pdf
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