AACR brief history of CPinhibitors 3

AACRニュース:チェックポイント阻害剤のシンプルな歴史

チェックポイント阻害剤の出現により、免疫療法を利用できる癌患者が増えました。

 

2020年9月18日

 

著者 ブラッドリー・ジョーンズ

 

長い間、癌の免疫療法を支えるメカニズムのより深い理解に向けた進展は見られませんでしたが、過去10年間で大きな改善がありました。そこに登場したチェックポイント阻害剤は、癌、T細胞に対する体の自然な防御の「ブレーキ」を無効にすることによって機能する免疫療法の一種です。

1891年:ウィリアムB.コーリー氏は、ニューヨーク市のメモリアルホスピタルの骨腫瘍サービスの責任者として、初歩的な免疫療法で患者の治療を開始しました。コーリー氏は、後にコーリーの毒素として知られる細菌の混合物を患者に注射しました。彼の研究仲間の多くは彼の研究の信頼性を疑い、癌を治療するための化学療法や放射線療法の台頭とともに、コーリー氏の免疫療法は支持されなくなりました。

1987年:CTLA-4をコードする遺伝子が発見されました。

1992年:PD-1をコードする遺伝子が発見されました。

CTLA-4とPD-1は、T細胞免疫機能の負の調節因子であり、刺激に対する免疫系の応答を抑制する働きをします。これは自己免疫疾患を予防しますが、癌細胞を破壊する免疫系の能力を損なう可能性もあります。チェックポイント阻害剤は、それが起こらないようにする働きを持っています。

2011年:米国食品医薬品局(FDA)は、転移性黒色腫(メラノーマ)の治療薬として、イピリムマブ(商品名ヤーボイ)を承認しました。イピリムマブは、CTLA-4を遮断することにより免疫系を活性化させる治療薬です。

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転移性黒色腫の患者676人を対象としたランダム化臨床試験では、403人がイピリムマブ(ヤーボイ)とgp100ペプチドワクチンを投与され、137人がイピリムマブ(ヤーボイ)のみを投与され、136人の対照群がgp100ペプチドワクチンのみを投与されました。転移性黒色腫患者では、イピリムマブ単独、または、イピリムマブとgp100ペプチドワクチンの併用により、gp100ペプチドワクチン単独での治療と比較して全生存期間が有意に改善されました。

AACR brief history of CPinhibitors

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2017年:FDAは、PD-1をブロックするペンブロリズマブ(商品名キイトルーダ)の適応を拡大し、特定の分子特性を持つ転移性または除去不可能な固形腫瘍を含めました。これは、FDAの最初の組織/部位にとらわれない(Tissue Agnostic/臓器横断型)承認となりました。つまり、患者の適格性の基準は、腫瘍の位置ではなく、癌の分子特性に基づいています。

編集注:ペンブロリズマブ(商品名キイトルーダ)は、PMDAにより2018年12月に膵臓がんに承認されました。使用するためには、マイクロサテライト不安定性検査(MSI)を受ける必要があります。

 

記事ここまで。
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米国パンキャン本部の代表ジュリーフレッシュマン氏、NPO法人パンキャンジャパンの眞島喜幸氏は共に、米国癌学会AACR Cancer TODAYの編集諮問委員です。この記事は、編集諮問委員の提案により執筆されました。

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米国パンキャン本部では、Know Your Tumorプロジェクトを通して、パネル検査が受けられない膵臓がん患者に無償でF1CDxなどの検査を提供してきました。いままでに2000症例以上の検体を集め、その遺伝子解析を行い、膵臓がんに多くみられる遺伝子変異を調べてきました。詳しくはASCOレポートを参照ください。https://bit.ly/2CH6jmJ
 

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