うまく続ける! 消化器がん薬物療法の基本とコツ 〜1stライン、2ndラインのレジメン選択と休薬・減量、副作用対策のポイント~
本書は医療者向けの本で、医師が患者の状況に合わせてどのように治療法を考えていけばよいかが書かれている。2016年刊行なので、それ以降に承認された新しい薬については書かれていない点には留意したい。消化器系のがんの薬物療法についてまとめられており、膵臓がんは「4章の胆膵がん」で、「①切除不能進行・再発膵がんに対する薬物療法」「②膵がんに対する術後補助化学療法の選択」「⑤知っておくべき副作用対策」について、FOLFIRINOOX(フォルフィリノックス療法)、GEM+nab-PTX(ジェムザール+アブラキサン療法)など、それぞれに対応可能な治療法が簡潔に解説されている。また、「7章の臨床力を鍛えるCase Study」では、高齢者に対する薬物療法や腹水、局所進行膵がんに対する化学療法、化学薬物療法なども触れられている。治療の投与量、スケジュール、検査の数値の見方や数値が悪化した際の考え方などが記載されており、治療を受ける側が知っていると、自分の状況が受け止めやすいかもしれない。全体で270ページ超の本だが、膵臓がんに関する箇所はその一部であることを追記する。 羊土社 5,000円+税 加藤健、森実千種 編 2016年4月23日刊行 |