がん患者のこころを救う 精神腫瘍医の現場から
著者は、埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科の大西秀樹教授。がん患者と家族の精神的なケアを専門とし、家族ケアの一環として始めた、遺族の悲しみに耳を傾ける「遺族外来」で著名な精神腫瘍医である。 「がんに、なぜ心のケアが必要なのか」。章の中で、医療が進歩しても、がんは「死」を連想させるものであり、がんになるということは、患者本人に大きな負担がかかる。また、心の状態によっては、がんだけでない、心からの影響の症状も出てくる場合がある。がんに対して、より適切な医療的措置ができるようにするためにも、心のケアの必要性について説明している。がんになり、どのような変化が起こるか、またどのように対処していくか、そして、本人だけでなく、それを支える家族の心にもついても章を分けて解説している。全編を通して、患者さんと接している目線と、寄り添うような文章でつづられており、安心した心持で読める心の本である。 河出書房新社 増補新版 1,850円+税 大西秀樹 著 2019年8月23日刊行 |