Source: PhRMA
■日本の深刻化するドラッグロス問題
日本ではドラッグロス問題が深刻化しつつあります。日本で承認販売される新薬は2015年当時は世界の半分。しかし、その割合は年々減少してきており、2011年には51%あった新薬の割合が2020年には43%と世界の半数以下になってきました。また、上市されるスピードも低下してきています。現在では米国で上市される医薬品の半数程度しか日本では上市されません。これは日本への上市が遅れる「ドラッグラグ問題」よりもはるかに深刻な「ドラッグロス問題」です。
編集注:ドラッグラグとは米国FDA承認より遅れて新薬が日本で承認されることを指す。ドラッグロスとは新薬が日本では上市されない現象。国際共同治験がオーファンドラッグ制度が使いづらい日本を避けて、韓国、台湾、中国へいってしまうジャパンパッシングもひとつの要因とされている。
米国では世界で販売される新薬の平均84%が上市されると言われています。しかし、米国の患者は新薬が使えても日本の患者は使えないという「ドラッグラグ・ドラッグロスの問題」については、日本の膵臓がん患者・家族の間ではあまり知られていません。ここではその現状と課題について説明します。
図1では、膵臓がんの第三相試験が世界では50本以上進められていますが、日本では僅か3本と非常に深刻な状況になっています。
Source: 大原薬品工業株式会社 早川 穣
図2では、膵神経内分泌腫瘍(PNET)などの希少がんではさらにジャパンパッシングが進んできており、患者数の少ないPNETの第二相、第三相試験に関しては、米国で開発が進む33試験に対して日本では0試験という深刻な状況です。
Source: 大原薬品工業株式会社 早川 穣
これらの状況を打破するためにパンキャンジャパンでは、日本希少がん患者会ネットワーク(RCJ)と共にドラッグロス問題解消を訴えた要望を厚生労働省に伝え、さらに製薬企業、アカデミアの先生方とともに解決策について検討しています。
以上