海外ニュース：新しい薬物が細胞のDNA修復応答を標的とすることで、標的放射線療法の有効性を高めることはできるか？

がんを治療するために医師が使用する戦略の一つは、DNA損傷を引き起こすことです。例えば、放射線療法を通じてDNA損傷を引き起こします。新しい薬物ペポセルチブは、DNA修復応答に関与する一部の酵素をブロックします。研究者は、この薬物を高用量の放射線療法と組み合わせることが、手術で摘出できない膵臓がんで、他の部位に広がっていない（局在した）患者に対して、単独の放射線療法よりも効果的であるかどうかを検証しています。

ペポセルチブとは何か？

放射線療法は二本鎖切断（DSBs）と呼ばれるDNA損傷を引き起こし、修復されないままであれば細胞や生物に致命的な影響を与えます。DNA修復をブロックする薬物を追加することで、DNAを損傷させる薬剤の感受性を高め、がん細胞の死亡を早めるのに役立つかもしれません。DNA依存性タンパク質キナーゼ（DNA-PK）は、DNA二本鎖切断の修復に重要な役割を果たします。ペポセルチブ（M3814）はDNA-PKを阻害する新しい薬物です。

臨床試験の進行方法

この第I/II相試験では、放射線療法と併用した場合のペポセルチブの副作用と最適な投与量を調査します。また、放射線療法とペポセルチブの組み合わせ治療を受ける患者と、単独の放射線療法を受ける患者との間で、無増悪生存期間と2年間の全生存期間の違いも調査します。

試験の第I段階（投与量増加段階）では、患者は14日間、高線量の放射線療法とともにペポセルチブの投与量を増加させます。

一度適切な薬物の投与量が決定されると、試験は第II段階に進行し、患者は2つのグループに無作為に割り当てられます。最初のグループは、2週間にわたり放射線療法とペポセルチブの組み合わせ治療を受けます。2番目のグループは、放射線療法とプラセボ錠剤を受けます。参加者は血液と組織のサンプル、CTスキャンおよびMRIスキャンを提出します。

この試験の治療法は、他の部位に広がっていない膵臓がんを持つ患者に対して提供されています。患者は試験開始前にFOLFIRINOXまたはジェムシタビン/アブラキサンの化学療法を受けたはずです。

試験が適しているかどうかは、医師に相談することをお勧めします。米国の治験検索サイト「ClinicalTrials.gov」には、この試験についての詳細と他の多くの試験に関する情報が提供されています。治験検索サイト「Emerging Med Trial Finder」を訪れれば、すべての有効な膵臓がん臨床試験のリストを確認できます。