■ASCO2009:発疹はゲムシタビン+エルロチニブ療法の薬効マーカー(AViTA試験)
背景:上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、エルロチニブ(E)は、ゲムシタビン(G)との組み合わせで進行膵臓がん患者に有意な生存延長をもたらす。上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤によくみられる毒性である発疹は、多くの癌種において、エルロチニブの薬効を表すマーカーとして提案されてきた。GE+べバシズマブ(B)の第Ⅲ相試験は、この提案を考察する機会を提供した。(Vervenne et al, ASCO 2008)
方法: 進行膵臓がんで、KPSスコアが60~100の患者は、二重盲検方式無作為によって、GE-プラセボとGE-べバシズマブ治療群に割り付けられた。最初の8週間は、べバシズマブ/プラセボ 5mg/kg q2w、 エルロチニブ (100mg/d) とゲムシタビン (1000 mg/m2) 週1回投与を7週繰り返す。続く4週間サイクルは、 3 週投与して1週休む。
結果: 607人の患者が登録された。GEにBを追加することにより、無憎悪生存期間(PFS)が([HR] 0.73, p=0.0002))と有意に改善した。発疹のグレードが高まるほど、全生存期間(OS)に改善がみられたが、発疹グレードについては治療群とプラセボ群の間に差はなかった。発疹のグレードが高いほど、明確に全生存期間(OS)に延長がみられた。この傾向は、治療群とプラセボ群の両方で明確に示された。
結論:観察された発疹のグレードと生存期間の延長の間の相関は、進行膵臓癌を対象としたゲムシタビンとエルロチニブの第Ⅲ相試験結果を支持するものである。(Moore et al. JCO 2007) 現在、膵臓がん患者を対象に、発疹とエルロチニブの有効性との相関についてプロスペクティブな研究が始まっている。(ASCO2009 Abstract# 4532)
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コメント:
University of Texas, M.D. Anderson Cancer CenterのRobert A. Wolff氏は、「Caveman and Rocket Scientists: A Perspective on Pancreatic Cancer Researcher」の講演のなかで、Abstract #4532(AViTA試験)について、「PA.3試験の結果を裏付ける重要な研究だ」と述べた。「発疹は、良好な予後を示すマーカーだと思うが、エルロチニブの有効性を予測するというエビデンスはない。リトロスぺクティブに予後を示すが、予測的ではないので、膵がん患者のために研究を続けることが重要だ」と強調した。
Treatment |
Media n Overall Survival |
|
No rash |
Any rash |
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Gemcitabine + Erlotinib + placebo |
4.3 months |
8.1 months |
Gemcitabine + Erlotinib + Bevacizmab |
5.0 months |
7.9 months |
All patients |
4.8 months |
8.0 months |