AACR2024ニュース: 意味のある試験結果(FDA加速承認の問題点を指摘)

加速承認されたがん治療薬は、全生存期間やQOLのベネフィットを示さないにもかかわらず、しばしば承認される

エリック・フィッツシモンズ著

2024年4月8日

2024年4月7日、サンディエゴで開催された米国癌学会年次総会(AACR)で、ボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院の血液学者であり研究者であるエドワード・クリフ氏が講演を行った。クリフ氏は、早期承認された多くの抗がん剤が、5年後には患者にとって意味のある利益を示していないという研究を発表した。

米国食品医薬品局(FDA)の早期承認プログラム(Accelerated Approval Program)は、有望な新治療薬がより早く患者に届くよう、早期に効果を示すことを目的としているが、ある研究により、この指定を受けた抗がん剤の中には、生存期間や生活の質(QOL)に有益性を示さないまま通常の承認を受けているものがあることが判明した。

サンディエゴで開催されたAACR2024で4月7日に発表され、同時にJAMA誌に掲載された研究によると、2013年から2017年までに早期承認された抗がん剤のうち、5年後に患者にとって意味のある転帰の改善を示したのはわずか43%であった。にもかかわらず、これらの薬剤の63%が通常の承認に変更された。

研究者たちは、体内のがんに影響を及ぼす治療法の能力を測定・追跡するために、さまざまな値を用いている。何が承認され、治療施設で使用されるかを決定するために、FDAは臨床的利益、すなわち患者の経験(寿命やQOLなど)を改善する効果を優先する。

現在、多くの研究では、検査結果や画像結果などの代替エンドポイントを測定しており、それ自体は患者にとって意味のあるものではないが、臨床的利益を予測し、より早く測定できる可能性がある。FDAの早期承認プログラムでは、有望な医薬品をより早く患者に届けるために、代替エンドポイントを用いている。加速承認された医薬品は、その後の確認試験で臨床的有用性を示し、通常の承認に移行することが期待されるが、この研究では、必ずしもそのようなプロセスではないことが判明した。

早期承認は、特にがん治療において重要な手段となっている。がん治療薬は早期承認の88%以上を占め、最近のがん治療薬承認の3件に1件は早期承認を利用していると、研究著者である血液学者でボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院の規制・治療・法律に関するプログラム(PORTAL)の研究者、エドワード・クリフ氏は7日の記者会見で述べた。

この研究では、2013年から2017年までの間、がんに関連する適応症を持つ46の医薬品が早期承認を受け、確認試験を完了するために少なくとも5年間の追跡調査が行われた。これらのうち、63%がその後通常の承認を受け、22%が取り下げられ、15%が加速承認の下で使用可能なままであった。

「FDAは、加速承認を通常の承認に変更した時点で大きな影響力を失う。さらなる試験をタイムリーに完了させることが難しくなり、承認した医薬品の撤回も難しくなるため、これらの決定を正当化するために使用される証拠が重要になる」とクリフ氏はプレスリリースで述べている。

別の分析では、研究者は2013年から2023年の間に早期承認された医薬品が通常承認に変更された理由を調べた。その結果、40%はがん治療薬のゴールドスタンダードである生存期間(OS)に基づいていた。さらに44%は、無憎悪生存期間(PFS)、がんが大きくならない期間がどれだけ長かったか、10%は奏効率と呼ばれる腫瘍の縮小が認められたかどうか、そしてその奏効期間がどれだけ長かったか、4%は奏効率のみであった。ある薬剤は、新治療を受けた患者と既存の標準治療を受けた患者の間で、全生存期間やがん再発までの期間(PFS)に差がないことが確認試験で判明したにもかかわらず、通常の承認を受けた。

PORTALの研究者でこの研究に携わったイアン・リウ氏はリリースの中で、「我々は、これらの知見が、予備的な代替指標に基づいて承認された抗がん剤を取り巻く不確実性や、ある治療法の潜在的なリスクとベネフィットについて、患者と医師の間でより大きなコミュニケーションを促すことを期待しています」と述べている。

記者会見でクリフ氏は、患者にとって、治療法について何がわかっていて何がまだ不確かなのか、特に難しい副作用を引き起こす可能性がある場合には、情報を得ることが重要であると述べた。しかし、彼はまた、研究者と医薬品メーカーは、プロセスの最後に明確な答えを与える方法でデータを収集する計画を立てるべきだと強調した。クリフ氏は、「最終的には、臨床的な利益について確信が持てるようにしなければならない、ということです」と語った。

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エリック・フィッツシモンズ氏はキャンサー・トゥデイ(Cancer Today)誌の編集者です。

『Cancer Today』誌は、AACRより発行されています。PanCANのジュリー・フレッシュマン(Julie Fleshman)氏とPanCAN Japanの眞島喜幸(Yoshiyuki Majima)氏は、Cancer Today誌のEditorial Advisory Boardメンバーです。

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