海外ニュース:進行性神経内分泌腫瘍の治療におけるカボザンチニブの第3相試験
~カボザンチニブは、PNET患者のPFSを4.4カ月から13.8カ月に伸長した(ハザード比:0.23)~
著者:ジェニファー・A・チャン医師、公衆衛生学修士 2024年9月16日 <要約> ■背景 進行性神経内分泌腫瘍患者に対する治療選択肢は限られている。 以前に治療を受けたことのある進行性膵外神経内分泌腫瘍または膵神経内分泌腫瘍の治療におけるカボザンチニブの有効性は不明である。
■方法 ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT療法)または標的療法、あるいはその両方を受けたことのある膵外神経内分泌腫瘍患者と膵神経内分泌腫瘍患者の2つの独立したコホートを登録した。患者は2:1の比率で無作為に割り付けられ、カボザンチニブを1日60mg投与する群とプラセボ群に分けられた。主要評価項目は、盲検化された独立中央審査により評価された無増悪生存期間であった。主な副次的評価項目には、客観的奏効率、全生存期間、安全性が含まれた。 ■結果 膵外神経内分泌腫瘍患者203人のコホートでは、カボザンチニブ投与群の無増悪生存期間中央値は8.4カ月であったのに対し、プラセボ投与群では3.9カ月であった(進行または死亡に関する層別化ハザード比:0.38;95%信頼区間[CI]:0.25~0.59;P<0.001)。膵神経内分泌腫瘍患者95人のコホートでは、カボザンチニブ投与群の無増悪生存期間中央値は13.8カ月であったのに対し、プラセボ投与群では4.4カ月であった(層別化ハザード比:0.23;95%CI:0.12~0.42;P<0.001)。 カボザンチニブ投与群における客観的奏効率は、膵外神経内分泌腫瘍患者で5%、膵神経内分泌腫瘍患者で19%であったのに対し、プラセボ投与群では0%であった。グレード3以上の有害事象は、カボザンチニブ投与群の患者の62~65%で認められたのに対し、プラセボ投与群では23~27%であった。グレード3以上の治療関連の有害事象として、高血圧、疲労、下痢、血栓塞栓事象がよく見られた。 ■結論 カボザンチニブは、プラセボと比較して、前治療歴のある進行性膵外神経内分泌腫瘍または膵神経内分泌腫瘍患者の無増悪生存期間を有意に改善した。有害事象は、カボザンチニブの既知の安全性プロファイルと一致していた。
--------------------------------------------------------------------------------------------------- (米国国立がん研究所およびその他の機関による資金提供、CABINET ClinicalTrials.gov番号:NCT03375320)
参照:N Engl J Med 2025;392:653-665 DOI: 10.1056/NEJMoa2403991 VOL. 392 NO. 7