AACR week in cancer news

AACR:今週のがんニュース(2025年2月21日版)

転移性前立腺がんの男性患者に治療に関する質問を促す、膵臓がんワクチンに早期研究で有益性を示す。

マーシ・A・ランズマン著

2025年2月21日

今週のがんニュース

毎週、Cancer Today 誌の編集者たちが、インターネット上の記事からがん患者向けに選んだトップニュースをお届けするのが今週のがんニュースです。 電子ニュースレターを購読して、がん研究とケアの最新情報をお届けするAACRのがんニュースです。そのなかから胆膵がんに関連のあるニュースを紹介させていただきます。

■転移性前立腺がん患者の多くが標準治療を受けていない

最近の研究により、転移性ホルモン感受性前立腺がんの男性患者の多くが、ガイドラインで推奨されている治療を受けていないことが明らかになりました。今週、米国国立がん研究所のブログ「Cancer Currents」で報告されたこの調査結果によると、患者の約70%がホルモン遮断薬を1種類だけ投与されていることが分かりました。ガイドラインでは、患者には2種類のホルモン療法、場合によっては化学療法の追加を行うよう推奨していますが、 この研究は、2024年12月9日にJAMA Network Open誌で発表されたもので、2018年7月から2022年1月の間にホルモン感受性転移性前立腺がん患者617人を治療した107人の医師へのアンケート調査に基づいています。

多くの医師は、新しいガイドラインについて認識が不足していたり、治療の副作用を懸念していたりしました。しかし、ホルモン療法の併用は生存率と生活の質を向上させることが示されています。例えば、この併用療法は前立腺がんの症状や骨転移による骨折の痛みを軽減できると、医師であり科学者でもあるファティマ・カルザイ氏は『Cancer Currents』誌に語っています。カルザイ氏は米国国立がん研究所(NCI)で前立腺がんの新しい治療法の研究を行っていますが、この研究には関与していません。彼女は患者に治療法について自ら学ぶよう勧めています。「患者に臨床試験のデータをすべて読み、自力で理解しようと提案しているわけではありません」と『Cancer Currents』誌に語っています。「しかし、ご自分の病気についてよく理解してください。ホルモン感受性がある場合は、その意味と体内の癌の量と治療法の選択肢との関係について担当医とよく話し合ってください。副作用についても話し合ってください。2種類と3種類の治療法の組み合わせについて、また、それらが体にどのような影響を与えるかについても尋ねてください。そして、『どのような利点がありますか?どのようなリスクがありますか?』と質問してください。」

 

■膵臓がんワクチンに持続的な免疫反応の兆候

膵臓がんでは、診断後5年以上生存する患者は13%未満です。しかし、小規模な第I相臨床試験の結果から、個別化されたmRNAワクチンが、手術可能な膵臓がん患者において、より強力な免疫反応を促し、がんを抑制する可能性があることが示唆されています。研究対象となった16人の患者のうち、8人の患者は長期間にわたってT細胞を生成し、治療から3年後も再発リスクが低かったことが、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターによる研究報告で明らかになりました。

この研究では、2023年に『Nature』誌で発表された過去の研究よりも長期にわたる追跡調査が行われ、その研究では、このアプローチがT細胞の活性化を大幅に促し、再発を遅らせることが示唆されていました。研究対象となった患者は全員、手術と化学療法や免疫療法などの標準治療を受けていました。「少し広い視野で捉える必要があります。これは何十万人もの人を治療するものではないのです」と、ボストンのダナファーバーがん研究所の医師であり科学者でもあるブライアン・ウォルピン氏はNBCニュースに語りました。「腫瘍に新たに生じた変異に対してワクチンで反応を引き起こし、それが持続することを示すことができたという事実は有望です」と、この研究には関与していないウォルピン氏は述べました。

 

■結腸直腸癌とヨーグルト

NPRによると、30年以上にわたる15万人以上のデータを調査した研究で、少なくとも週に2回ヨーグルトを食べる人は特定の結腸直腸癌の発生率が低いことが分かりました。具体的には、定期的にヨーグルトを摂取している人は、ビフィズス菌陽性近位結腸がんの発生率が低いことが判明しました。このがんは結腸がんの一種で、一般的に生存率が低いことで知られています。この研究結果は、2月12日付のGut Microbes誌に掲載され、ヨーグルトががんやその他の疾患の予防に役立つことを示す証拠が次々と増えていることを裏付けるものです。「ヨーグルトは、体内の善玉微生物叢を維持するのに役立つかもしれません」と、この研究の著者であり、ボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院の医師でもある宇賀井朋孝氏はNPRに語りました。

 

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記事ここまで。
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米国パンキャン本部の代表ジュリーフレッシュマン氏、NPO法人パンキャンジャパンの眞島喜幸氏は共に、米国癌学会AACR Cancer TODAYの編集諮問委員です。この記事は、編集諮問委員の提案により執筆されました。

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