膵臓がん研究の未来が危機に瀕している
アンナ・バーケンブライト医師、MMSc著
2025年3月17日
編集者注:「リサーチ・スポットライト」シリーズは、パンキャン最高科学・医療責任者のアンナ・バーケンブライト医師が執筆しています。毎月、バーケンブライト医師が膵臓がんに関する最新ニュースや研究についての見解を述べています。バーケンブライト医師のXとLinkedInのページをフォローしてください。
膵臓がんの研究者たちは、救命の可能性を秘めた画期的な治療法の開発に迫ろうとしています。 5年生存率が13%という診断結果を受けた患者にとって、それはまさに切実に必要とされているものです。 がん研究は今、危機に瀕しています。 行政および議会の一連の措置により、これまで生物医学研究コミュニティに割り当てられていた予算が停止され、今後大幅な削減が予想されるため、この重要な分野における今後の進歩に深刻な懸念が生じているのです。科学者が進歩を推進し、成果を向上させるために必要なリソース(予算)を確実に確保しなければなりません。
膵臓がん治療において最も有望視されている分野のひとつに、KRAS阻害剤の開発があります。KRASの変異は、最も一般的な膵臓がんである膵管腺がん(PDAC)の90%以上に見られます。KRASを標的とした最近の進歩により、ついにこの致命的な疾患の画期的な進歩の機会がもたらされようとしています。
この進歩は、パンキャンが長年擁護し、維持し、拡大するために戦ってきた、米国立衛生研究所(NIH)、米国国立がん研究所(NCI)、国防総省(DoD)予算における膵臓がん研究への献身的な資金援助を含む、数十年にわたる研究資金によって可能になりました。驚くべきことに、生物医学研究費の80%は連邦政府からの助成金で賄われています。そのため、政府への働きかけはパンキャン・スカラーシップの活動の重要な要素となっています。しかし、その助成金、その努力、そして何よりもその進歩がいま脅かされています。
助成金の凍結や削減はすでに膵臓がん研究に深刻な影響を与えています。私は全米の研究仲間と会い、彼らの話や今後の見通しに対する懸念を聞いています。研究に必要な機器の維持費をどう工面するかについて、多くの不安が寄せられています。また、研究室をいつまで維持できるかについても懸念されています。こうした状況は、今日、研究費を大幅に削減すれば、この分野に有望な若手研究者が一世代分失われることにつながるという暗い現実を招くことになります。
私は数週間前に、パンキャン(PanCAN)のジュリー・フレッシュマン(Julie Fleshman)会長兼CEOと連邦議会議事堂で時間を過ごしました。そして、今こそ、皆さまの連邦議会議員が皆さまの声を聞くことがこれまで以上に重要であることを身をもって知りました。議会は、救命につながるがん研究への資金提供において重要な役割を担っており、連邦政府による研究資金への脅威がこの病気の治療の進歩に与える壊滅的な影響を理解しなければなりません。膵臓がん研究の未来は危機に瀕しており、現在、そして将来、この病気に直面するすべての人々がより良い治療の選択肢と生存の可能性を得られるよう、議会が動く必要があります。
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出典:https://pancan.org/news/the-future-of-pancreatic-cancer-research-is-in-jeopardy/