海外ニュース:局所進行膵がん対象遺伝子療法TNFerade

 

~ 腫瘍縮小効果を認めるケースも ~

 

 切除不能な膵がん患者に新しい希望が生まれました。全米で臨床試験中の生物学的製剤 TNFeradeは、完全切除が難しい局所進行膵がんに対して、良好な腫瘍縮小効果が認められたと報道されました。

 

 米国コロラド大学がんセンター外科医のRaj Shah氏は、「この遺伝子療法は、その腫瘍縮小効果から、ステージ3の患者に対し外科的切除を可能とするかも知れない」と語りました。TNFeradeの第Ⅲ相試験では、コントロールグループは標準治療(SOC)である放射線化学療法を受け、もう一方のトリートメントグループはSOC+TNFeradeという放射線化学療法+遺伝子療法を受けます。

 

 TNFeradeは、TNFα(Tumor Necrotic Factor-α:腫瘍壊死因子)の遺伝子を含む複製欠損性アデノウイルスベクターです。放射線誘導性プロモーターによって制御されるため、放射線を受ける部位において効果を最大化できる特徴があります。TNFαはサイトカインの一種で、がん細胞を死滅させる効果があることは認められてきました。しかし、TNFのレセプターは腫瘍細胞を含め、様々な細胞にも存在することから全身的な毒性の問題があり、有効なドースを投与することが困難でした。TNFeradeは、腫瘍部位に選択的に薬剤を送達することを可能とする優れた薬剤です。

 

 この試験では、放射線療法と5-FUFluorouracil:フルオロウラシル)による化学療法と並行して、週1回のTNFerade5週間続けます。TNFerade生物学的薬剤は、PTA(percutaneous approach)あるいはEUS(endoscopic ultrasound)によって直接腫瘍に注射されます。

 

 

 1年前に膵臓に隣接する血管にまで腫瘍が広がっていたため切除不能な進行性膵がん(ステージ3)と診断されたRichard Jordan氏は、余命6か月と知りました。しかし、幸いコロラド大学病院において始まったTNFeradeの臨床試験に参加することができ、標準治療と同時に口から挿入された超音波内視鏡(EUS)の管を通して、腫瘍に直接注射されるTNFeradeによる遺伝子療法も受けました。

 

 5週間の治療を終えると、Jordan氏の血管を取り巻いていた腫瘍は縮小し手術可能な状態となっていました。その後、外科的治療をうけたJordan氏は、切除組織の病理検査では、がん細胞が検出されなかったことを知りました。外科医のShah氏は「膵臓がんでこのようにがん細胞が消滅してしまうケースは非常にまれです」と語っています。

 

 臨床試験に参加するすべての患者が遺伝子治療を受けられるわけではないため、「本当にラッキーだと思う」とJordan氏は述べています。現在、定期的にチェックを受けていますが、再発は見つかっていません。

 


 

■参考資料: 

 

●臨床試験情報:第Ⅱ/Ⅲ相無作為化比較試験:切除不能局所進行性膵がんの第1選択治療法 - TNFerade+放射線化学療法(5FU) 対 放射線化学療法(5FU)  

 

CBSデンバー:膵がん患者に希望

 

●リウマチEネット:TNFレセプターファミリー


 

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