2008米国癌学会(AACR)レポート
近年、がん幹細胞の働きに関する研究は、がん研究の展望をかえてしまった感がある。多くのがんにおいて幹細胞が潜在治療目標として提示されるようになり、今回のAACRにおいてもがん幹細胞の研究が多数発表されていた。以下、2008 AACRで発表された膵臓がん幹細胞に関する最新の研究成果を報告する。
膵臓がん幹細胞 - 診断と治療に果たすがん発原細胞の役割
ジョンホプキンス大学の研究者は、新しい標的療法の開発に繋がる可能性がある膵臓がん幹細胞の存在を確認するための新しいマーカー「アルデヒド・デヒドロゲナーゼ」を特定したと発表した。膵臓がんは非常に悪性度が高く、既存の治療に対して耐性をもつことが知られている。研究者は、化学療法に対する耐性は膵臓がん幹細胞が原因ではないかと考えている。「がん幹細胞は治療可能な目標とされてはいるが、有効な治療法の開発には、純度の高い細胞群の同定と分離が必要である」とジョンホプキンス大学の研究者Zeshaan Rasheed氏は語った。