Abract No:214
著者: P. J. Hosein, V. H. Pastorini, C. M. Gomez, J. Macintyre, J. R. Merchan, A. Ferrell, M. Easey, G. Zayas, P. Bejarano, C. S. Rocha Lima; University of Miami Sylvester Comprehensive Cancer Center, Miami, FL
背景:膵がん患者の一部には、SPARC(Secreted Protein Acidic and Rich in Cysteine) の過剰発現がみられる進行膵がん患者に対してアルブミン結合パクリタキセルの有効性が示唆された。昨年ASCOで発表されたフェーズ1/2臨床試験においてゲムシタビン+ナブパクリタキセル(Gem+NP)の併用療法の臨床効果が認められた。(Von Hoff, ASCO 2008)
方法:進行膵がんと診断され、ゲムシタビン療法に耐性ができ進行(PD)となった、身体状態ECOG PS 0-2の患者を対象として、NP 100 mg/m2 が28日サイクルの1, 8, 15 日に投与された。プライマリーエンドポイントは、6カ月生存率。セカンダリーエンドポイントは、RECIST 評価基準により奏功率、無憎悪生存期間(PFS)、安全性と毒性プロフィールである。
結果: 2008年7月から2009年4月の間に計画された. 20人が登録された。患者1人は治療を受けなかったため、分析から除外された。年齢中間値は61歳、男性は9人(47%)、18人 (95%) はステージ4であった。6カ月生存率は、63%。(95% CI 38%-80%) 生存期間中間値(OS)は7.3 ヵ月 (95% CI 2.8-not attained). 無憎悪生存期間中間値(PFS)は、1.7 ヵ月 (95% CI 1.5-3.4)であった。 患者1人に部分奏功(PR)が認められた。6 人(32%) は安定 (SD) であった。残りの12 人は (63%) 進行(PD) であった。8人は生存しており、フォローアップの中間値は8.8 ヵ月 (range 4- 12.6)である。SDの患者は、治療サイクル11である。2サイクルの治療が終了した段階でPRとSD患者のCA19-9 中央値には、52%の減少が認められた。PD患者は18%の減少にとどまった。SPARC発現との相関分析は継続中である。非血液毒性は、一般に軽微なグレード1または2の悪心(63%)、食欲不振(47%)、低カルシウム血症(37%)、嘔吐(26%)が認められた。グレード3または4の副作用では、好中球減少症(26%)、発熱性好中球減少性(11%)、貧血(11%)が認められた。
結論: ナブパクリタキセルは良好な忍容性を示し、ゲムシタビン療法後、進行となった37%の患者において臨床的有益性を認めた。ナブパクリタキセル療法を受けた膵がん患者のSPARC発現と予後については、サンプルをとるなどしてさらなる分析が必要である。