2013年10月20日 奈良県立医科大学 消化器・総合外科 長井美奈子

PancanAward2013Nagaiminako長井先生:写真中央(授賞式にて)

 

膵癌は我々外科医が扱う消化器癌の中でも最も治りにくい癌の一つであり、予後不良な疾患です。しかし現在では、抗癌剤の開発や放射線治療、手術治療の組み合わせで,以前に比べ予後の改善が得られるようになってきているのも事実です。膵癌と診断された時に、手術の適応にならないことも少なくありませんが、たとえ手術を受けられたとしても術後の様々な症状に、患者さんが悩まれる姿に遭遇することがあります。そのうちの一つに下痢や倦怠感や食欲低下などを引き起こす非アルコール性脂肪肝があります。これはいわゆる過栄養状態からくる脂肪肝とは異なるものであり、手術で膵臓を切除した方に起こり得る病態です。

 我々奈良県立医科大学のグループは、この術後脂肪肝を治療することで、患者さんのQOLを向上させ、術後も化学療法などの治療を継続することができれば、さらなる予後の改善にもつながると考え、前向き臨床研究を、関西医科大学との共同研究として行いました。この研究により、パンクレリパーゼという国内で新たに承認された膵の消化酵素剤が非アルコール性脂肪肝の治療に有効であったことを証明できました。さらに食物を十分に消化吸収できないことが術後非アルコール性脂肪肝の原因の一つであることが示唆されました。このように今まで明らかにされていなかった病態が一つ一つ明らかになれば、少しずつでも膵癌と戦う患者さんの日々の生活の改善につながるのではないかと信じています。

 この度は、PanCAN Young Investigator Awardという栄誉ある賞をいただき、大変恐縮な思いと同時に、非常に光栄にも思っております。PanCAN JAPANの関係者の皆様に心より御礼申し上げます。また、本研究にご理解頂き、ご参加頂きました多くの患者さんにもこの場をお借りして、御礼申し上げます。私は消化器外科医となって6年目とまだまだ勉強中の若輩ではありますが、このような栄誉ある賞で評価いただけたことを励みに、今後も臨床に研究に日々精進したいと思います。本当に有難うございました。


奈良県立医科大学 消化器・総合外科 長井美奈子
2013年度Young Investigator Award(若手研究者賞)受賞

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