がん患者にはがん細胞を特異的に攻撃することができるT細胞が存在しますが、がん細胞は免疫を制御するチェックポイントを悪用してT細胞を抑制し、攻撃から逃れていることが知られている。
このチェックポイントがPD-1という、T細胞の表面に発現する受容体である。このPD-1にがん細胞表面に発現するPD-L1が結合すると、T細胞の働きが弱まり、がんを排除することができなくなる。
小野薬品が開発しブリストルマイヤーズスクイブが販売するヒト型抗ヒトモノクローナル抗体「抗PD-1抗体薬 ニボルマブBMS-936558」は,このPD-1とPD-L1の結合を阻害し、T細胞を正常に機能させることでがんを消滅させる薬剤だ。
アストラゼネカ社が開発したMEDI4736は、がんによるT細胞抑制シグナルをブロックすることで、がんが免疫回避することを無効にするヒトモノクローナル抗体である。いま、このMEDI4736の第一相試験が胆道がんなどを対象に国立がん研究センター、癌研有明病院など多施設において始まっている。
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