dMMR or MCI H photo

Unprecedented approval of Keytruda based on molecular characteristics dMMR of patient tumor

 

2017年523

 

米国FDAは進行膵臓がん患者対象のペンブロリズマブ(抗PD-1抗体)を迅速承認

この免疫療法の対象となるマクロサテライト不安定性検査(MSI-H)あるいはMMR陽性の膵臓がん患者は全体の2%と推定されている。ジョンズホプキンス大学における研究では、「ペンブロリズマブ(抗PD-1抗体)免疫療法で治療されたMSI-HまたはMMR欠損陽性の進行膵臓がん患者は、非常に高い効果をみせた」とVogelstein氏は報告した。「奏功した腫瘍にはミスマッチ修復欠損があるため、遺伝子変異の数も多く、腫瘍免疫応答を刺激していた。しかし、通常の免疫応答では腫瘍を拒絶するには弱すぎた。ペンブロリズマブの投与で免疫応答が活性化され、従来の化学療法と比較して最小限の副作用で劇的な腫瘍縮小効果を得ることができた。」と語った。ジョンズホプキンス大学で長年研究し、コールドスプリングハーバー研究所所長となったDavid Tuveson氏(Director, the Cold Spring Harbor Laboratory Cancer Center)は、「(ぺンブロリズマブの承認は)信じられない、とても重要な前進だ。この研究の鍵となる役割をになうことができて嬉しい。患者はこの治療にとてもよく反応している。膵臓がんの個別化医療のはじまりだ。」と結んだ。この研究は、米国ラスガーテン財団の支援をうけている。Tuveson氏は、ラスガーテン財団のリサーチディレクター(Director for Research of Lustgarten Foundation)。パンキャンジャパンの科学諮問委員会設立に寄与した。

 

ペンブロリズマブ(抗PD-1抗体)免疫療法の臨床試験に登録された149人の患者の中から合計15のがんタイプが同定された。最も一般的な癌は結腸直腸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、胃癌、小腸腫瘍、膵臓癌、胆嚢癌、尿管癌、脳腫瘍、皮膚癌などだった。これらの癌の発癌リスク上昇の原因はDNAミスマッチ修復酵素の変異による。ペンブロリズマブの適応症は、腫瘍の完全または部分的な収縮を経験した患者の割合(全般的な奏功率)および期間(奏効の耐久性)に基づいて決定されている。ミスマッチ不安定性検査陽性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)と呼ばれるバイオマーカーで適応となる患者は選択される。この試験ではペンブロリズマブを受けた149人の患者のうち、39.6%が完全または部分的な反応を示した。また、これらの患者の78%では、応答が6ヶ月以上続いた。

 keytruda

■遺伝性非ポリポーシス大腸癌( Hereditary nonpolyposis colorectal cancer:HNPCC ):

HNPCCは、DNAミスマッチ修復酵素の変異により発生する、常染色体優性の遺伝的素因による大腸癌である。マイクロサテライト不安定性をもとにして、病理組織学的に3つのグループに分類される。

 

    1 MSI-H:  マーカーで30%以上の不安定性を示す高不安定性(MSI-high)
    2.MSI-L:   不安定性30%未満を示す低不安定性(MSI-low)
    3.MSI-Stable: 不安定性を全く示さない安定性(MSI-stable)

 

HNPCCの遺伝的素因を持つ人が、生涯に大腸癌を発症するリスクは80%と言われる。

 

■ミスマッチ修復機構(MMR)マイクロサテライト不安定性 (MSI) 検査:

ペンブロリズマブが奏功するミスマッチ修復(MMR)に欠損がある腫瘍かを調べるためには、マイクロサテライト不安定性 (Microsatellite instability: MSI) 検査を受ける必要がある。MSI検査は、マイクロサテライトの反復回数を調べ、ミスマッチ修復遺伝子が機能しているかどうかを予測する。DNA合成時に高い確率で生じる塩基ミスマッチを修復する機能が低下すると、突然変異の頻度が上昇し、がんになりやすいことがわかっている。

 

MSI検査は保険診療で行うことができ、3割負担の場合の自己負担額は約6000円といわれている。ただし、膵臓がんのような悪性腫瘍を対象とした遺伝子検査の場合は、患者1人につき1回しか算定できない。また、検査目的、結果、選択された治療法等が診療報酬明細書に記入されることになっている。患者はMSI検査を受けなければペンブロリズマブが使用できるかもわからないので主治医と相談してほしい。

 

■ペンブロリズマブの迅速承認について:

ペンブロリズマブを患者が使用できるようになるためには、開発元MSDにお願いし、国内承認に向けた手続きをPMDAと相談しながら迅速にすすめてもらわないとならない。パンキャンでは厚生労働省医薬品審査課ならびに開発元であるMSD社に要望書を提出した。

 

国内ニュース:免疫療法ペンブロリズマブの早期承認を求める要望書提出

https://bit.ly/2GIu95d

 

国内ニュース:免疫療法ペンブロリズマブが膵臓がんのMSI-Hを対象として承認申請される
局所進行性又は転移性の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)がん患者を対象

 

 

■ペンブロリズマブについて:

20155月、当時91歳のジミーカーター前米国大統領はメラノーマ(黒色腫)と診断され肝臓と脳に転移があると発表した。しかし、数カ月後、2014年9月に承認されたばかり抗PD-1抗体ペンブロリズマブにより肝臓だけではなく脳の転移も消滅したと発表したのは有名な話。ペンブロリズマブは、今回のMMR欠損の陽性すい臓がんも含め、局所進行または転移性尿路上皮がん、ホジキンリンパ腫、進行黒色腫、扁平頭頚部がん、PD-L1発現に関わらず転移性非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペメトレキセドおよびカルボプラチンとの併用療法で米国FDAの承認を得ている。

 

■ペンブロリズマブ(商品名:キイトルーダ(R)Merck社英語版:

https://www.keytruda.com/

 

■WikiPedia情報:ペンブロリズマブ(商品名:キイトルーダ(R)

http://bit.ly/2rKFUQn

 


 

 

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