臨床試験:局所進行膵癌のための低侵襲手術ナノナイフと化学療法フォルフィリノックスの併用療法

 

ナノナイフ(不可逆的エレクトロポレーション:IRE)のしくみ

ナノナイフとして知られる不可逆的エレクトロポレーション(IRE)は、高エネルギーの電気パルスを用いて癌を殺す方法である。電気パルスは、細胞膜に永久的な穴をあけることで細胞を死滅させる。この治療を受ける患者には外科医によって全身麻酔下、電極針が腫瘍の周囲に挿入され、電気パルスがかけられる。針の間に高圧電流を特定の時間だけ流すことで癌の細胞膜に穴をあける。複数の腫瘍を治療する必要がある場合、腫瘍のあるすべての領域に針を刺し、IRE治療をしていく。

 

ナノナイフ(IRE)には多くの利点がある。まず、ラジオ波焼灼術のように電極針をさし熱を発生させて腫瘍を焼き殺さないので、炎症のような副作用は起こらない。 IREは、周囲の血管および神経にも影響を及ぼさないため、血管や神経を巻き込んだ腫瘍に対して大きな潜在的な利用価値を有する。

IRE Nanoknife
IREは抗がん剤が腫瘍に浸透することを可能にする

膵臓癌の治療が難しい1つの理由は、癌細胞の塊が厚い線維組織の障壁(間質)によって取り囲まれ、守られているためである。この障壁は、抗がん剤が癌細胞に到達するのを阻止している。研究者は、IREが化学療法を膵臓癌に浸透しやすくできるかを研究している。この臨床試験は、ステージIIIの局所進行膵臓癌の患者を対象としていて、患者は、IREを受けた後、ファーストライン標準治療薬であるフォルフィリノックス(FOLFIRINOX)による抗がん剤治療を受ける。FOLFIRINOXは、FOL(ロイコボリンカルシウム、フォリン酸としても知られている)、F(フルオロウラシル、5-FUとしても知られている)、IRIN(塩酸イリノテカン)、OX(オキサリプラチン)の4つの薬で構成されており、いままでの抗がん剤のなかでは一番抑制力がある。 5-FUは、DNA複製を含む異なる細胞の増殖プロセスを破壊する代謝拮抗物質である。癌細胞だけではなく、すべての細胞を標的とするため、それは不快な副作用を引き起こす場合がある。ロイコボリンは5-FUの効果を高める。イリノテカンは、DNAの複製および転写を阻害し細胞増殖を妨げる。オキサリプラチンはDNAに損傷を与え、癌細胞を殺す白金化合物である。研究者は、この臨床試験を通して、膵臓癌治療に適切なIREの最高許容電圧を設定しようとしている。患者の進捗状況は、MRIおよびMRスぺクトロスコピー(Magnetic Resonance Spectroscopy:MRS)によって検査される。

 

 

※臨床試験:膵臓がん患者は、ファーストライン治療として、適切な臨床試験を受けることが米国NCCN膵癌診療ガイドラインでは推奨されている。米国の臨床試験検索サイト、Clinicaltrials.gov のウェブサイトには、この局所進行膵癌患者を対象としたナノナイフ+FOLFIRINOX併用療法の臨床試験の詳細や他の多くの臨床試験情報が掲載されている。膵臓癌患者・家族は、ClinicalTrials.govにアクセスし、すべての有効な膵臓癌患者のための臨床試験をまず確認してほしい。国内の臨床試験を検索するのはこちらから。国立がん研究センターがん情報サービス:http://ganjoho.jp/public/dia_tre/clinical_trial/search/index.html

 

※低侵襲手術とは、鏡視下手術のように、数ヶ所小さな穴をあけ、炭酸ガスを注入し腹腔鏡を空間に挿入して行う手術である。この手技は、皮膚の切る範囲を減らし、出血を減少させ、手術時間を短縮することもできるため、からだへの負担が少ないのが特徴。ただし、開腹手術とは異なり狭い視野のなか手術を行うため、指導医とともに十分に訓練した外科医による執刀が推奨される。関連情報は日本肝胆膵外科学会のホームページを参照。専門医・指導医・施設検索:http://www.jshbps.jp/modules/public/index.php?content_id=5

 

Source: Let's Win Clinical Trials by Lustgarten Foundation

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