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膵炎と膵臓がんの危険な関係

2018年4月20日
By Zahra Nealy

2018年4月20日に死亡した有名なDJ Aviciiが、他の健康問題の中でも急性膵炎に苦しんでいたことが、複数の報道機関によって報告されました。米国パンキャン本部では、膵炎に関する情報をYahoo! ニュースにAviciiの死と関連した記事のために提供しました。以下はその情報です。


膵炎は膵臓の炎症です。膵臓は腹腔の奥深く、胃の背後、背骨の前にある臓器で、体内のエネルギー消費を助ける消化酵素を産生し、血糖値も調節します。膵臓は、膵管を通して小腸に膵液とともに消化酵素を分泌します。通常、これらの酵素は小腸に達するまでは活性化されません。膵炎は、これらの酵素が膵臓内で活性化した結果、膵臓を消化して器官を損傷させるために起こります



膵炎の症状
膵炎の主な症状は、背中に広がる可能性のある重度な上腹部の痛みです。食べると痛みはしばしば深刻になります。

その他の症状としては、

    腫れて柔らかい腹部
    吐き気
    嘔吐
    発熱
    早い脈拍

症状のタイプおよび重症度は、個人ごとおよび膵炎のタイプによって異なります。


膵炎の種類

急性膵炎は、通常、膵臓が突然炎症を起こして起こります。これは、通常、過剰なアルコール消費または胆石によって引き起こされます。急性膵炎の最初の症状は、突然起こるか、徐々に悪化する痛みです。急性膵炎は、対応が遅れると命の危険性もあるために、迅速な対応が重要です。米国では、毎年約80,000件が報告されており、20%の症例が重篤と考えられています。

※編集者注:日本における急性膵炎の発症率は、10万人に49人と言われており、年間6万人以上が急性膵炎になるとされている。(急性膵炎診療ガイドライン2015)

慢性膵炎は、慢性の炎症によって、瘢痕、永続的な損傷および膵臓の機能喪失をもたらすために引き起こされます。膵臓組織の破壊は、痛み、糖尿病、および食物の吸収不良などの症状を引き起こします。特に、アルコール依存症は、成人の慢性膵炎症例の70〜80%を引き起こすとされています。症状の重篤度は人によって異なります。

遺伝性膵炎は、慢性膵炎につながる急性膵臓発作の再発を伴います。これは、米国で約1,000人に罹患するまれな遺伝的状態です。現在、PRSS1遺伝子、SPINK1遺伝子および嚢胞性線維症遺伝子の突然変異を検査するための3つの遺伝子検査があります。

自己免疫性膵炎は、硬化性膵炎または原発性炎症性膵炎としても知られています。身体の免疫系が自身の細胞および組織、またはこの場合は膵臓組織を攻撃するために起こります。膵臓の炎症は、膵臓の肥大、主膵管の狭窄および時には慢性膵炎をもたらします。多くの場合、症状はありません。

※編集者注:リンパ形質細胞性硬化性膵炎 (lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis: LPSP)としても知られる自己免疫性膵炎は、幼少期から腹痛や下痢、嘔吐などの急性膵炎様発作を繰り返して慢性膵炎へと進行する。自己免疫性膵炎は海外では多いものの、日本では非常に希な疾患との報告がある。(自己免疫性膵炎診療ガイドライン2013)



膵臓がんのリスク要因

慢性および遺伝性の膵炎はいずれも、膵臓がんの危険因子です。慢性膵炎の診断から20年以内に約4%の患者が膵臓がんを発症すると推定されています。遺伝性膵炎の患者には、生涯にわたり膵臓がんのリスクが40%もあるとみられています。いずれの場合も、慢性膵炎による組織損傷の持続により膵臓がんが発生すると考えられています。膵炎を経験された方は、担当医に相談し、膵臓がん発症リスクに関連する危険因子の詳細を学んでください。

 

膵臓がんに関する有益な情報

膵臓がんに関する情報については、がん診療連携拠点病院の相談支援センター、またはパンキャンジャパンの電話相談までお問い合わせください。

パンキャンジャパンの電話相談:03-3221-1421

 

<このがん情報は米国PanCANで作成されています。日本の状況と異なる点もありますので、詳しくは担当医にご相談下さい。PanCANJapanの責任で翻訳、提供しています。無断転載禁止。>

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