ASCO:ゲノム医療は膵臓がん患者の全生存期間を2倍に延長

~アメリカ本部のノウ・ユア・チューマ(Know Your Tumor)プロジェクトで明らかに~

2019年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)では、米ジョージタウン大学のマイケルピシュベイン博士(Michael J.Pishvaian)とパンキャン本部のリン・マトリジアン博士(PanCAN Lynn M.Matrisian)らのパンキャン本部が進めるノウ・ユア・テューマ (Know Your Tumour:KYT)プロジェクトを介した共同研究により、「がん遺伝子パネル検査」で明らかになった遺伝子変異にマッチした治療薬を投与された患者は、遺伝子変異にマッチした治療を受けなかった患者、また標準治療を受けた患者に比べ、全生存期間(OS)と、無増悪生存期間(PFS)が 2倍と有意に改善したことが明らかになりました(OS:1.81年vs0.73年、p=0.000193)(PFS: 10.49カ月vs 4.53カ月、p=0.0122)。

この研究成果をもとに米国の膵臓がん診療ガイドライン(NCCN Guideline)は改訂され、新たに転移性膵臓がん患者には診断時に「がん遺伝子パネル検査」と「生殖細胞系遺伝子検査(Germline Test)」を実施し、最適な治療を選択できるよう推奨しました。

 

■パンキャンジャパンの政策提言活動

2019年6月4日パンキャンジャパンでは、薬師寺参議院議員のご支援により厚生労働省健康局佐々木課長に面談することができました。そこで、米国のNCCNガイドラインが改訂になったことをうけ、日本の転移性膵臓がん患者に診断時に「がん遺伝子パネル検査」を受けるためにはどうしたらよいのかを相談しました。米国同様に日本の「膵癌診療ガイドライン」にも、膵臓がん患者は早期に「がん遺伝子パネル検査」を受ける必要性があることが記載されることが重要とのアドバイスをいただきました。

そこでパンキャンジャパンでは、米国のKYTプロジェクトの総責任者を日本に招聘し、KYT研究の詳細について、マトリジアン博士により、膵臓がんの専門医が集まる第50回日本膵臓学会学術集会(2019年7月12日~13日)、さらに第17回日本臨床腫瘍学会学術集会(2019年7月18日~20日)にて報告してもらいました。また、膵癌診療ガイドライン策定委員会の主要メンバーとの意見交換会も開催し、NCCNガイドライン改訂に使われた論文も提供し、日本のガイドラインの早期改訂をお願いしました。

これは日本でゲノム医療を実現するための第一歩でしかありません。次なるステップとしては、患者さんにアクショナブルな遺伝子変異が見つかっても、米国と異なり国内では適応外の医薬品で治療することができないので、国内の保険制度を米国のようにバイオマーカーが陽性であれば、関連する医薬品が適応外でも使える制度に変えていく必要があります。これにより、米国並みに膵臓がん患者の27%にゲノム医療の恩恵が届くことになり、全生存期間が2倍に延長する可能性がでてきます。

 

■新薬の開発に乗り出すパンキャン本部

パンキャン本部では、製薬企業にお願いするばかりでは、なかなか新薬が患者の手元に届かない現状を打破するために、患者会として新薬の開発に乗り出すことにしました。このプレシジョンプロミス(PrecisionPromise)というプロジェクトは、2019年8月に米国医薬食品局(FDA)の承認が取れましたので今年の12月から新しい医薬品をテスト群とし、FOLFIRINOXとGnPをコントロール群とした臨床試験を米国ではじめます。

ひとつの新薬を臨床試験から承認申請まですすめるためには何年もの時間と膨大なコストがかかります。このFDA承認を受けた PrecisionPromiseは新しいタイプの臨床試験で、アーム毎の登録患者数は150名で試験を終了することができます。このパンキャン本部が進める試験を日本の患者さんも参加できるように活動したいと考えています。

 

■ボランティア募集

膵癌撲滅に向けたがん研究支援活動、ゲノム医療の国内早期実現を目指した政策提言活動、さらに新薬開発のためにパンキャン本部がFDA承認をとり進める臨床試験の国内実現に向けた活動などに参加してくださるボランティアを募集しています。

パンキャンジャパンはボランティアが活動を進めるボランティア集団です。ご一緒に膵癌撲滅(End Pancreatic Cancer)活動を応援してくださる方は、このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 宛にその旨明記の上、ご連絡ください。

 

 

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