BRCA

BRCA変異と膵臓がんに関する 5つのポイント

著者:アリソン・ローゼンベルグPhD

2019年10月15日

■膵臓癌のリスクと治療の選択肢に影響を与えるBRCAタンパク質の構造

BRCA遺伝子の変異は、膵臓がんの発症リスクを増加させ、さらに膵臓がん患者の治療の決定にも影響を与えます。

BRCA1およびBRCA2の変異は、乳がん、卵巣がん、および膵臓を含む他のがんの発症リスクを高めることをご存知ですか? 

BRCA遺伝子変異は女性だけの問題と一般には考えられていますが、実は男性と女性の両方に影響を与える可能性があります。BRCA変異に関する5つの重要な事実と、それらが膵臓がんの発症リスクにどのように影響し、治療の選択肢に影響するかを調べてみましょう。

 

BRCAタンパク質は、DNAの損傷を修復する能力に影響を与えます。 BRCA遺伝子(BRCA1およびBRCA2)は腫瘍抑制遺伝子のひとつです。つまり、健康な細胞ががんになるのを防ぎます。BRCAの機能はDNAの損傷を修復することですが、BRCA1またはBRCA2が変異して正しく機能しない場合、修復されていないDNA損傷が蓄積され、最終的に無秩序な細胞成長、または癌につながります。

BRCA変異は、膵臓がんを含むいくつかの種類のがんのリスクを高めます。すべての遺伝子はペアで体内に存在します。つまり、それぞれの親から1つのコピー(またはバージョン)を継承します。人々はBRCAの1つの健康なバージョンと1つの変異したバージョンを持って生まれることができますので、生涯のがん発症リスクの増加につながりますが、しかし不可避ではありません。がんは、BRCA1またはBRCA2遺伝子の2番目の健全なコピーが変異または変更された場合にのみ発生する可能性があります。

アシュケナージ系ユダヤ人は、一般的なアメリカ人よりもBRCA突然変異の割合が高いことが知られています。アシュケナージ系ユダヤ人の40人に1人(2.5%)がBRCA1またはBRCA2の突然変異を持っていると考えられています。対照的に、一般的な非アシュケナージ系ユダヤ人ではBRCA突然変異は400人に1人(0.25%)から800人に1人(0.125%)の範囲で発生することが研究により示唆されています。

遺伝子検査(GermlineTest)によるスクリーニングプログラムは、リスクの判定とがん発生の監視(Surveillance)に役立ちます。遺伝子検査により、突然変異(BRCAなど)が明らかになることで、膵臓がんの家族歴があるなしに関係なく、遺伝カウンセラーに相談し、さらに家族に膵臓がんの発症リスクを知らせるのに役立ちます。米国パンキャン本部(すい臓がんアクションネットワーク:PanCAN)では、膵臓がんと診断されたすべての患者が生殖細胞系遺伝子検査(Germline Test)を受けることを推奨しています。NCCNガイドラインでは、膵臓がんと診断された患者さん全員に遺伝子検査(Germline Test)を受けることを推奨していますし、BRCA変異に関連する他の種類のがん(乳がん、卵巣がんなど)の人たちに対する遺伝子検査と遺伝カウンセリングを推奨しています。

多数の臨床試験から得られた結果は、BRCA変異を有するがん細胞が特定のタイプの化学療法およびPARP阻害剤と呼ばれる分子標的治療法に特によく反応する可能性があることを示唆しています。第III相臨床試験では、BRCA遺伝子変異を有する特定の膵臓がん患者グループにPARP阻害剤を投与した結果、有望な治療成績が得られたことが最近示されました。従って、膵臓がん患者の場合、BRCA遺伝子の検査は治療選択肢の選定に有益な情報を提供し、予後の改善につなげることができる可能性があります。

すべての膵臓がんは遺伝子プロファイルは異なり、がん遺伝子検査を受け、腫瘍の生物学的特性に基づいて分子標的薬による治療を受けた患者はより良い成果をえています。米国 PanCAN本部は、腫瘍の遺伝子パネル検査(分子プロファイリング)を行うことを強くお勧めしています。それにより、最適な治療法を決定することができます。

 

 

 Alison Clein Johns Hopkins

アリソン・クライン、、MHS、PhD (写真)

ジョンズ・ホプキンス大学の腫瘍学、病理学、疫学教授であり、米国PanCAN'本部の科学諮問委員会委員であるアリソン・クライン博士は、次のように述べています。

「遺伝カウンセラーと相談して、誰を検査すべきかを判断し、その結果の解釈方法をよく理解することが重要です。」クライン博士は続けます。「膵臓がんの遺伝学について学べば学ぶほど、複雑さが明らかになります。膵臓がんやその他のがんを発症するリスクを理解できるように、まず家族の病歴を知っておくことが重要です。また、腫瘍の遺伝的特徴を知ることで、患者さんはご自分に最適な治療法とは何かを知ることが重要です。」

 

Source: PanCAN Homepage

 

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