■膵臓がん専門病院(外科症例数の多い病院のことをハイボリュームセンターと呼びます)
外科手術の症例数が多い病院ほど治療成績はいい傾向にあるという調査結果がでています。病院のなかには年間50例以上の膵癌切除例を報告するハイボリュームセンタ-といわれる専門病院もあります。近年の膵がん患者の増加に伴い、国内では年間100症例を超える膵臓がんの手術を行う病院もふえてきました。
また、膵臓の手術は難易度が高いことから、日本肝胆膵外科学会では、その高難度の手術をより安全かつ確実に行うことができる外科医を育てるために、肝胆膵外科専門医制度を発足させました。この制度では、高度技能をもつ指導医のもとで外科医は経験を積み、認定基準に定められた手術実績以上の経験を積むことが要求されます。日本肝胆膵外科学会ではハイボリュームセンターを修練施設(A)と(B)の2段階で定めています。高難度肝胆膵外科手術を年間50例以上行っている施設は修練施設(A)、年間30例以上行っている施設は修練施設(B)と定義しています。
下記のリストの中から、膵臓がんの外科手術が多いとされている病院には、日本肝胆膵外科学会の修練施設の基準に従い、年間50症例以上を手術を行っている施設には(A)、年間30症例以上を行っている施設には(B)としました。
手術数のデータを公開する病院は毎年増える傾向にありますので、近隣の病院のホームページから年間の消化器外科または、肝胆膵外科の症例数を調べてみてください。
■がん薬物療法専門医(日本臨床腫瘍学会)
ハイボリュームセンターはあくまでも手術数が多い施設を指しますが、膵臓がんの場合、手術を受ける患者は全体の約20%と言われ、抗がん剤治療を受ける患者数はその約3~4倍と推定されます。
膵臓がんの化学療法は外科・内科・各担当科の現場の医師により行われていますが、欧米では化学療法の専門家としての腫瘍内科医(オンコロジト:Oncologist)が独立して治療にあたり、良績をあげています。そうした現状を受け、国内でも日本臨床腫瘍学会が中心となり2006年より臨床腫瘍医(腫瘍内科医)専門認定制度が開始されました。また、下記の条件を満たした施設で、例えば、がん患者が常に20名以上入院しており、がんの薬物療法を50症例以上こなしている化学療法専門医のいる施設を認定研究施設と言います。膵がん専門病院のなかで日本臨床腫瘍学会から認定を受けた化学療法専門医のいる施設は◎で示しました。
- 悪性腫瘍患者が常時20名以上入院し、がんの薬物療法が年間50例以上施行されていること
- 指導医、又はがん薬物療法専門医が1 名以上在籍していること
- 当学会の研修カリキュラムに基づく研修が実施されていること
- 施設IRB(倫理委員会)が機能していること
- がん薬物療法に精通した薬剤師、看護師がいること
- 病理学会認定病理専門医が勤務していること(非常勤可)
- 緩和ケアチームとしての活動が行われているなど緩和医療の体制が整っていること
- がんに関連した緊急事態に対応できる体制が整備されていること
- 院内又は放射線治療に関する研修協力施設内に放射線治療装置が整備されていること ※
- 院内がん登録が実施されていること
■がん診療連携拠点病院
全国どこにいても、質の高いがん医療を受けることができるよう、厚生労働省により、全国にがん診療連携拠点病院が402箇所指定されています。それらの病院は、さらに次のように分かれています。
A.国立がん研究センター2箇所、都道府県がん診療連携拠点病院 51箇所、
B.地域がん診療連携拠点病院(高度型)47箇所、
C.地域がん診療連携拠点病院 275箇所、
D.地域がん診療連携拠点病院(特例型)26箇所、
E.特定領域がん診療連携拠点病院1箇所、
更新 2021年3月3日~ 改訂中 NA=更新中 (お詫び:コロナの影響により、更新作業が遅れております。西日本の情報につきましては、いましばらくお待ちください)
【北海道】
★北海道がんセンター(NA) ◎
手稲渓仁会病院 (施設A) ◎
北海道大学病院 (施設A ) ◎
札幌厚生病院 (施設A) ◎
札幌医科大学附属病院 (施設A) ◎
旭川医科大学病院 (施設A) ◎
斗南病院(施設B) ◎
北海道消化器科病院(施設B) ◎
市立函館病院(施設B)
帯広厚生病院(施設B)
函館五稜郭病院(施設B)
勤医協中央病院(施設B)
KKR札幌医療センター(NA) ◎
旭川厚生病院 (NA) ◎
旭川医療センター(NA) ◎
東札幌病院(NA) ◎
北見赤十字病院(NA) ◎
市立札幌病院(NA) ◎
NTT東日本札幌病院(NA) ◎
恵佑会札幌病院(NA)◎
北海道病院(NA)◎
市立稚内病院(NA)◎
砂川市立病院(NA)◎
市立釧路総合病院(NA)◎
製鉄記念室蘭病院(NA)◎
王子総合病院(NA)◎
【青森県】
★青森県立中央病院 (施設B) ◎
弘前大学医学部附属病院(施設A) ◎
三沢市立三沢病院 (NA) ◎
【岩手県】
★岩手医科大学附属病院 (施設A) ◎
岩手県立中央病院 (施設A) ◎
岩手県立胆沢病院 (施設B) ◎
岩手県立胆沢病院 (NA) ◎
岩手県立千厩病院 (NA) ◎
【秋田県】
★秋田大学医学部附属病院 (施設A) ◎
市立秋田総合病院(施設B)
秋田赤十字病院(NA) ◎
大舘市立総合病院(NA) ◎
【山形県】
★山形県立中央病院 (施設B) ◎
山形大学医学部附属病院(施設A) ◎
鶴岡市立荘内病院(施設B)
山形市立病院済生館(NA) ◎
【宮城県】
★東北大学病院がんセンター(施設A) ◎
★宮城県立がんセンター(NA) ◎
仙台厚生病院(施設A) ◎
仙台医療センター(施設B ) ◎
石巻赤十字病院(施設B) ◎
東北医科薬科大学病院(施設B)
大崎市民病院(NA) ◎
東北労災病院(NA) ◎
みやぎ県南中核病院(NA) ◎
【福島県】 (4)
★福島県立医科大学附属病院(施設A) ◎
脳神経疾患研究所付属総合南東北病院(施設B)
いわき市医療せなー(施設B)
温和会会津中央病院(施設B)
白河厚生総合病院(NA) ◎
福島労災病院(NA) ◎
星総合病院(NA) ◎
【茨木県】 (10)
★筑波県立中央病院(施設A) ◎
筑波大学付属病院(施設A) ◎
東京医科大学茨木医療センター(施設B)◎
総合病院土浦協同病院(施設B) ◎
筑波メディカルセンター病院(NA) ◎
水戸医療センター(NA) ◎
茨木東病院(NA) ◎
水戸済生会総合病院(NA) ◎
水戸共同病院(NA) ◎
日立総合病院(NA) ◎
【栃木県】 (4)
★栃木県立がんセンター(施設A) ◎
自治医科大学附属病院(施設A) ◎
独協医科大学病院(施設A) ◎
栃木県済生会宇都宮病院(施設B)
国際医療福祉大学病院(NA) ◎
【群馬県】 (7)
★群馬大学医学部附属病院(施設A) ◎
★群馬県立がんセンター(NA) ◎
済生会前橋病院(施設A)
前橋赤十字病院(施設B) ◎
渋川医療センター(NA) ◎
伊勢崎市民病院(NA) ◎
高崎総合医療センター(NA) ◎
公立藤岡総合病院(NA) ◎
【千葉県】 (15)
千葉大学医学部附属病院(施設A) ◎
★国立がん研究センター東病院(施設A) ◎
★千葉県がんセンター(施設B) ◎
順天堂大学医学部附属浦安病院(施設) ◎
亀田総合病院(施設B) ◎
東京慈恵会医科大学附属柏病院(施設B) ◎
帝京大学ちば総合医療センター(施設B) ◎
東京歯科大学市川総合病院(施設B) ◎
東京女子医科大学八千代医療センター(施設B) ◎
千葉西総合病院(施設B) ◎
成田赤十字病院(施設B) ◎
君津中央病院(施設B) ◎
松戸市立総合医療センター(施設B)
新松戸中央総合病院(NA) ◎
船橋市立医療センター(NA) ◎
東邦大学医療センター佐倉病院(NA) ◎
【埼玉県】(14)
埼玉医科大学国際医療センター(施設A ) ◎
★埼玉県立がんセンター(施設A) ◎
防衛医科大学校病院(施設A) ◎
自治医科大学附属さいたま医療センター(施設A)◎
埼玉医科大学総合医療センター(施設A) ◎
さいたま赤十字病院(施設A) ◎
国立病院機構埼玉病院(施設B) ◎
独協医科大学埼玉医療センター(施設B) ◎
さいたま市立病院(施設B)
深谷赤十字病院(施設B) ◎
上尾中央総合病院(施設B) ◎
熊谷総合病院(施設B)
春日部市立医療センター(NA) ◎
さいたま医療センター(NA) ◎
埼玉県済生会川口総合病院(NA) ◎
行田総合病院(NA) ◎
埼玉医科大学病院(NA) ◎
【東京都】 (46)
★国立がん研究センター中央病院(施設A ) ◎
★癌研有明病院(施設A) ◎
東京女子医科大学病院(施設A) ◎
帝京大学医学部附属病院(施設A) ◎
★都立駒込病院(施設A) ◎
東京大学医学部附属病院(施設A) ◎
日本医科大学病院(施設A) ◎
順天堂大学医学部附属順天堂医院(施設A ◎
慶応義塾大学病院(施設A) ◎
昭和大学病院(施設A) ◎
杏林大学付属病院(施設A) ◎
日本大学医学部附属板橋病院(施設A) ◎
東京医科大学病院(施設A) ◎
東京慈恵会医科大学附属第三病院(施設A) ◎
東京医科歯科大学医学部附属病院(施設A) ◎
東邦大学医療センター大森病院(施設A) ◎
東京都立多摩総合医療センター(施設A) ◎
国際医療福祉大学三田病院(施設B) ◎
武蔵野赤十字病院 (施設B) ◎
東京慈恵会医科大学葛飾医療センター(施設B)
国立国際医療研究センター病院(施設B) ◎
NTT東日本関東病院(施設B) ◎
東京都立墨東病院 (施設B) ◎
国立病院機構東京医療センター(施設B) ◎
国立国際医療研究センター病院(施設B) ◎
虎ノ門病院(専門医・指導医在中) ◎
日本赤十字社医療センター ◎
江戸川病院 ◎
多摩北部医療センター ◎
都立府中病院(☆) ◎
慈恵医科大学 ◎
災害医療センター ◎
三井記念病院 ◎
東京都済生会中央病院 ◎
杏雲堂病院 ◎
東海大学医学部附属八王子病院 ◎
公立昭和病院 ◎
東京女子医科大学東医療センター ◎
日本大学病院 ◎
東京病院 ◎
日本医科大学多摩永山病院 ◎
青梅市立総合病院 ◎
東京医科大学八王子医療センター ◎
多摩南部地域病院 ◎
厚生中央病院 ◎
大森赤十字病院 ◎
順天堂大学医学部附属練馬病院 ◎
大久保病院 ◎
【神奈川県】
★神奈川県立がんセンター(施設A ) ◎
東海大学医学部附属病院(施設A ) ◎
聖マリアンナ医科大学病院(施設A) ◎
横浜市立大学附属病院(施設A) ◎
北里大学病院(施設A ) ◎
済生会横浜市東部病院(施設A)
小田原市立病院(施設A)
国立病院機構横浜医療センター(施設B)
横浜市立大学附属市民総合医療センター(施設B)
川崎市立川崎病院(施設B)
日本医科大学武蔵小杉病院(施設B)
横浜市立みなと赤十字病院
横浜労災病院() ◎
藤原市民病院
昭和大学藤が丘病院
横須賀共済病院
横浜市立市民病院
関東労災病院
大和市立病院
湘南鎌倉総合病院
神奈川県立循環器呼吸病センター
けいゆう病院
昭和大学横浜市北部病院
横須賀市立市民病院
湘南藤沢徳洲会病院
横浜市南部病院
相模原協働病院
帝京大学医学部附属溝口病院
【新潟県】
★新潟県立がんセンター新潟病院(施設B) ◎
新潟大学医歯学総合病院(施設B) ◎
【富山県】
金沢医科大学病院 ◎
★富山県立中央病院 ◎
【石川県】
金沢大学医学部附属病院 ◎
【福井県】
★福井県立病院 ◎
福井医科大学病院 ◎
【長野県】
★信州大学医学部附属病院(B) ◎
【山梨県】
山梨大学付属病院(B) ◎
★山梨県立中央病院 ◎
【静岡県】
★静岡県立静岡がんセンター(A) ◎
静岡県立総合病院(B) ◎
【愛知県】
名古屋大学病院(A) ◎
★愛知県がんセンター(A) ◎
名古屋市立大学病院(B) ◎
藤田保健衛生大学病院(B) ◎
豊橋市民病院(☆)
愛知医科大学病院(☆)
【岐阜県】
大垣市民病院(☆☆☆) ◎
★岐阜大学医学部附属病院 ◎
【三重県】
★三重大学医学部付属病院(A) ◎
【滋賀県】
★滋賀県立総合病院(B) ◎
滋賀医科大学病院(☆) ◎
大津赤十字病院 (B) ◎
【奈良県】
天理よろづ相談所病院(☆☆)
★奈良県立医科大学附属病院(☆☆)
【和歌山県】
★和歌山県立医科大学附属病院(☆☆)
【京都府】
★京都大学医学部付属病院(A) ◎
京都府立医科大学附属病院(B) ◎
【大阪府】
★大阪国際がんセンター(A) ◎
国立病院機構 大阪医療センター(A) ◎
関西医科大学牧方病院(☆☆☆) ◎
近畿大学病院(☆☆☆) ◎ ◎
大阪市立総合医療センター(☆☆) ◎
大阪市立大学病院(☆☆) ◎
大阪赤十字病院(☆☆)
大阪医科大学付属病院(☆☆) ◎
大阪警察病院 (☆☆)
大阪大学病院(☆) ◎
大阪労災病院(☆)
淀川キリスト教病院(☆)
市立豊中病院(☆) ◎
済生会野江病院(☆)
関西医科大学滝井病院 ◎
【兵庫県】
神戸大学付属病院(☆☆☆) ◎
神戸市立中央市民病院(☆☆☆)
明和病院(☆☆)
兵庫医科大学病院(☆☆)
★兵庫県立がんセンター(☆) ◎
兵庫県立成人病センター(☆) ◎
姫路赤十字病院(☆)
【岡山県】
★岡山大学病院(☆☆☆☆) ◎
岡山済生会総合病院(☆☆☆) ◎
倉敷中央病院(☆☆)
松田病院(☆)
【広島県】
★広島大学病院(☆☆☆) ◎
尾道総合病院(☆☆) ◎
市立広島市民病院(☆☆)
広島赤十字・原爆病院(☆) ◎
【山口県】
★山口大学医学部付属病院 ◎
【徳島県】
★徳島大学病院 ◎
【香川県】
★香川大学医学部附属病院 ◎
【愛媛県】
★四国がんセンター(A) ◎
愛媛県立中央病院(☆☆) ◎
松山赤十字病院(☆☆) ◎
【高知県】
高知医療センター(☆☆) ◎
★高知大学医学部附属病院(☆☆)
【福岡県】
★九州大学病院(☆☆☆☆) ◎
久留米大学病院(☆☆☆) ◎
福岡大学病院(☆☆) ◎
★九州がんセンター ◎
北九州市立医療センター
飯塚病院(☆)
【長崎県】
★長崎大学病院(B) ◎
国立病院機構長崎医療センター(B) ◎
【熊本県】
★熊本大学病院(☆☆☆☆)
熊本赤十字病院(☆☆)
【大分県】
★大分医科大学病院
【宮崎県】
★宮崎大学医学部附属病院(☆☆☆) ◎
【鹿児島県】
★鹿児島大学病院(A) ◎
更新日: 2021年3月15日
参考資料:
『がん薬物療法専門医』とは質の高いがん薬物療法を実現するために、幅広い臓器のがん薬物療法の知識と技術を持った専門医です。それぞれの専門医やメディカルスタッフと連携しながらがん治療を行います。
全国のがん診療連携拠点病院・大学病院やがんセンターなどに在籍しており、1,233名(2017年4月1日現在)が専門医認定を受けています。 専門医をお探しの方は専門医名簿をご覧ください。
1)内科医:日本臨床腫瘍学会(JSMO)「科学的根拠に基づいた抗がん剤治療ができる専門医の養成について」
『がん薬物療法専門医』とは質の高いがん薬物療法を実現するために、幅広い臓器のがん薬物療法の知識と技術を持った専門医です。
それぞれの専門医やメディカルスタッフと連携しながらがん治療を行います。
全国のがん診療連携拠点病院・大学病院やがんセンターなどに在籍しており、1,233名(2017年4月1日現在)が専門医認定を受けています。
専門医をお探しの方は下記の認定施設に記載されている専門医の名簿を参照ください。
2)外科医:日本肝胆膵外科学会:修錬施設検索(都道府県別) (A…50例以上、B…30例以上)
肝胆膵外科手術は、消化器外科手術の中で、特に難易度が高いため、難しい手術を安全に、かつ確実に行うことのできる外科医を育てるために日本肝胆膵外科学会は、高度技能専門医制度を2008年より始めました。
高度技能専門医の資格を得るには、まず、消化器外科専門医の資格を持っていること、日本肝胆膵外科学会が認定した修練施設(*1)で3年以上の修練期間を有すること、そこで高度技能指導医(*2)に直接指導を受け、高難度肝胆膵外科手術の経験を積み、基準以上の手術実績数を持つ必要があります。書類審査と高難度手術のビデオ審査を受け、通過した医師だけが高度技能専門医になれます。
(*1)修練施設とは?
日本消化器外科学会専門医制度指定修練施設に認定されており、かつ高度技能指導医あるいは高度技能専門医が1名以上常勤している病院のうち、1年間に高難度肝胆膵外科手術を50例以上行っている施設を修練施設(A)、30例以上行っている施設を修練施設(B)としています。2016年12月現在、日本全国に修練施設(A)が111施設、修練施設(B)が106施設存在します。
(*2) 高度技能指導医とは?
消化器外科専門医または指導医の資格をもち、肝胆膵外科診療に指導的立場で従事し、高難度肝胆膵外科手術を100例以上行った経験を持っています。2016年12月現在、日本全国に640名の高度技能指導医がおります。