『治療薬の早期承認・ドラッグラグ解消にむけた活動』
2011年からパンキャンジャパンでは、厚生労働省に対して、新薬の早期承認を訴え、要望書を提出してきました。パンキャンジャパンが設立された2006年当時は、膵臓がんに対して有効な薬剤は、ゲムシタビン1剤しかありませんでした。しかも、その薬剤は余命3ヶ月と宣告されていた膵臓がん患者が使えるまでに、米国食品医薬品局(FDA)に承認されてから6年もの長い時間がかかっていました。それでは患者、家族の希望に繋がらないと、パンキャンジャパンでは厚生労働省に新薬の早期承認を打ったえるために署名を集めて提出する活動を始めました。
◆2011年5月30日タルセバ承認を求める 15,402筆の署名を厚労省に提出
2011年5月30日11時、タルセバの早期承認を求め、全国から寄せられた 15,402筆の署名を厚生労働省審査管理課 成田課長に手渡しました。膵がん患者の中嶋憲夫氏、落合誠一氏から患者のおかれている厳しい状況、他のがんでは10剤以上承認されているが、膵がんには2剤しかない現状の説明がなされ、分子標的薬タルセバの一日も早い承認をお願いしました。審査管理課成田課長からは午後の部会にて検討される旨、説明がありました。(写真:署名をつづりを確認する厚労省)
翌日の早朝、NHKニュースから「タルセバ承認の見通し」という報道が流れました。条件付きではありますが、タルセバは無事部会を通過しました。これから様々なプロセスを経て、早ければ翌月にも正式承認の見込みとの報道がありました。この活動の結果、日本で膵臓がんで使える薬剤は、ゲムシタビン、S‐1、そしてエルロチニブと3剤になりました。
◆2013年6月25日フォルフィリノックス、ナブパクリタキセルの承認を求める 31,382筆の署名を厚労省に提出
パンキャンジャパン)は、2013年6月25日、厚生労働大臣 田村憲久氏に要望書「31,382筆」を手渡しました。
本要望書の内容は、日本で5月31日に承認申請が提出された「フォルフィリノックス」、治験中の「ゲムシタビン+ナブパクリタキセル」、ならびに家族性膵癌に著効する「ゲムシタビン+シスプラチン」の一日も早い承認を求める患者・家族の願いです。膵臓がんは、難治性がんの筆頭で、5年生存率は僅か6%、しかも毎年29,000人以上が亡くなるため、がん死因第5位です。また、他の主要ながんには、使える薬剤が10種類以上あるのに、膵臓がん患者が使える薬剤は3種類(ゲムシタビン、TS-1、エルロチニブ)しかありません。一方、米国では9種類以上の抗がん剤が標準的に使われており、進行膵がん患者でも余命2年に手が届くところまで来ていると言われています。日本では平均余命が約1年未満と言われていますのでその倍になります。このような状況を受け、「苦しい膵臓がん治療の現況に救いの手を差し伸べたい」と、全国の膵臓がん患者・家族・遺族・友人・患者会有志・医療関係者・メディア・企業が署名活動に参加してくださいました。この1年余りで、「31,382筆」の署名が集まりました。
田村厚生労働大臣は署名提出と患者さん・ご遺族からの手紙の読み上げ後に続いた懇談のなかで、膵臓がんにおけるドラッグラグ問題をご理解くださり、これからの厚生労働省の取り組みをご説明くださいました。今回の訪問にあたっては、がん対策推進議員連盟の塩崎恭久衆院議員がご協力くださり、ドラッグラグ解消の重要性について積極的に討論を深めてくださいました。
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『ドラッグラグ問題解消を訴える患者からの手紙』
厚生労働大臣 田村憲久 様
私は愛知県よりまいりました膵臓がん患者の落合誠一と申します。
膵臓がん患者の8割は手術が出来ず、主に抗がん剤に頼らねばならない状況です。いまは、患者仲間とお互い励ましあいながら頑張っておりますが、あるとき患者仲間がきて、「私に使える薬はなくなりました」と言って、悲しそうな目をして病院を去って行かれました。
その方とはそれ以来、二度とお会いすることはありませんでした。
ともに戦ってきた闘病仲間が次々と先立っていかれる現実が後をたちません。使える薬が無くなり追い詰められるのです。
米国では膵臓がんに10剤程度承認され、使われているそうです!!!!
それらの薬はすでに日本で承認され、他のがんに日常的に使われています。薬がないのではなく、あるのに使えない・・・・・ 患者としては理解出来ない所です。このような悲惨な実態は、私の中での「誇りある日本のがん医療の姿」ではありません。悔しくてなりません!!!
本日ここに署名をお持ち致しましたが、この中には抗がん剤3剤を使いきり、治療法が無くなって追い詰められた待ったなしの、全国の膵臓がん患者さんの、すがる様な思いが沢山詰まっております。
皆さんは固唾を飲んで本日の結果を注目しています。 一刻も早く、一剤でも多く使えるようにし、治療の選択肢を増やして、これからも命を繋いでいけるという、生きて、生きて、生き抜けるチャンスと希望を与えて欲しいと思います。
それからもう一つお願いがあります。 私は、我が国の膵臓がんに関する研究が、他の部位のがんに比べて大きく遅れていると感じています。いまだに、早期発見ツールもなく、進行した膵臓がんを治す薬もありません。
「第3次対がん10か年総合戦略」では、難治性がんが重点項目であったにもかかわらず、膵臓がんには僅かな研究費しかつかなかったそうです。膵臓がんは難治がんであり、がんの王様と言われています。この様な厳しい状況を早く改善して行くために、膵臓がんの研究予算を増額していただき、研究者を増やし、国の重点テーマとして今まで以上に力を入れて頂きたいと願っております。
どうか患者の願いを汲み取って頂きたく、宜しくお願い申し上げます。
平成25年6月25日
落合 誠一
パンキャンジャパン患者諮問委員
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『ドラッグラグ問題解消を訴える膵臓がん遺族からの手紙』
厚生労働大臣 田村憲久 様
私は埼玉県よりまいりました膵臓がん患者遺族の今野喜彦です。
私は、14歳のときに膵臓がんで母を亡くしました。いまから7年前のことです。
その当時は、膵臓がんに使えるお薬はひとつしかなく、そのお薬もしだいに効かなくなりました。医師から、「もう使えるお薬はありません」と言われた時の母と父の悲しい顔をいまだに覚えています。
母は14歳だった私に、伝えたいことがまだたくさんあったと思います、今でも元気で生きていてほしかったと思っています。
膵臓がんで使えるお薬はいまだに3剤しかありません。
私たちのような患者家族の悲しみを繰り返さないように、膵臓がんのドラッグラグを解消して使えるお薬を増やしてください。 お願いします。
平成25年6月24日
今野喜彦
埼玉県さいたま市
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がん患者の「希望の数」を増やせ
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今回の新薬の承認は、一日も早い承認を求める署名活動にご協力いただいた大勢の皆様、ならびに我が国のドラッグラグ解消にむけ、これまで未承認薬問題解決に取り組まれ、ご尽力くださった様々なお立場の方々のお陰です。心より感謝申し上げます。
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