■すい臓がんと診断されたら
まずはご自分のがんについて知ることが大切です。
「すい臓のがん」といわれる腫瘍は20種類ちかくあります。種類によっては外科的切除が高い確率で可能となります。スティーブジョブズ氏のすい臓がんは手術で切除できるタイプ(膵神経内分泌腫瘍)でした。一番患者が多いすい臓がんは、「膵腺癌(すいせんがん)」と言われる、膵管のなかの細胞ががん化するものです。
昔は、「お任せしますので、どうぞよろしく」というタイプの医師と患者の対話が多かったと思いますが、最近は病状から治療方針まで詳しく説明し、インフォー ムドコンセントを通して患者さんの同意を求める医師が多くなりました。従って、患者・ご家族も医師にすべてをおまかせした「患者不在」の治療をすすめても らうのではなく、病歴、症状、検査結果、診断結果が記録されたカルテをコピーしてもらうなどして、病期・ステージ、さらに治療方針の内容について調べましょう。
日本膵臓学会による『膵癌診療ガイドライン標準治療ガイドライン』(金原出版)、それと患者向けブックレット『膵臓がんの概観』 (パンキャンジャパン) が参考になります。パンキャンジャパンが出版する『膵臓がんの概観』は、患者と家族が必要とする、すべての情報を網羅し、その本があればワンストップですべてがわかるよう、辞書のように編集されています。膵癌診療ガイドライン2019年度版、2022年度版に紹介される新しい情報は、『膵臓がんの概観』補足資料に網羅されます。補足資料もご利用ください。補足資料につきましては、パンキャン事務局までお問合せください。(このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。)
診断結果、病期・ステージ、治療方針の説明があった段階で、解らないことがあれば担当医に質問してください。
治療については、いくつかの選択肢が提示される場合があります。すい臓がんと告知されたときは、誰でも頭のなかが真っ白になるなど、動揺するものです。ご自分で質問しづらい場合は、ご家族、友人の方などにお願いして質問してもらうこともいいでしょう。ここで重要なことは、わからないことをわからないままにしておかないことです。質問しづらい先生の場合、質問を紙に書いて、渡しましょう。
最近はセカンドオピニオンのサービスを提供する病院が増えています。セカンドオピニオンとは最初の医師の診断結果、治療法について、他の専門医の意見も聞いてみるというものです。欧米ではチーム医療が進み、外科医、内科医、放射線科医、病理医など複数の専門医が参加して、患者の診断結果と治療法について検討します。
すい臓がんはほっておくと進行しますので、適切な治療を早めに受けることが必要です。すい臓がん専門病院のセカンドオピニオンサービスを受け、患者・ご家族も納得の上で治療に入りましょう。
すい臓がんは難治がんと言われていますが、毎年大勢の方がすい臓がんのサバイバーとしてPanCAN のシンポジウムに参加されています。希望を持ち、絶対にあきらめずに、気持ちを前向きにもって、すぐに行動に移すことが大切です。
■最初にすること
ステップ1: 自分のすい臓がんについて調べる
すい臓とはどういう機能をもつ臓器なのか
すい臓がんとはどのような病気なのか
すい臓がんの種類と診断方法について
腫瘍のあるすい臓の部位、大きさ、また病期(ステージ)について
(UICC分類)
参考資料:
膵癌診療ガイドライン2019年度版詳細資料(https://bit.ly/3pZGi8N)
国立がん研究センター情報サービス「すい臓がんの基礎知識」(https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/index.html)
「もっと知ってほしいすい臓がんのこと」 (https://www.cancernet.jp/suizougan)
ステップ2: 治療方法について調べる
治療方法について
外科療法について
化学療法について
副作用について
ステップ3: 膵臓がん外科医・腫瘍内科医のいる治療施設
すい臓がん専門病院について
症例数・治療成績について
がん拠点病院 について
ステップ4: セカンドオピニオンについて相談する
セカンドオピニオンを受けるためには症状について書かれた医師の紹介状(診療情報提供書)、すい臓がんと診断された根拠となる検査資料・カルテのコピーが必要となります。
■膵臓がんについてのご相談は「パルズ電話相談センター」(賛助会員専用)まで