国内ニュース:膵がんの予後不良型に血液がんの薬が効くかもしれない
2018年12月17日
研究発表の記事から。東京医科歯科大学(文京区)の研究グループが、多くの膵がん患者さんのがん組織の遺伝子変異を詳細に研究し、3つのタイプに分かれること、さらに最も予後が悪いタイプの膵がんに血液がんの治療薬が有望であるとする研究結果をまとめ、がん研究の国際科学誌International Journal of Cancerの2018年12月17日のオンライン版に発表しました。
本研究は重要な2つの点を示唆しています。1つは「膵がんでもほかのがんのように遺伝子変異をもとにした個別化治療を研究する価値があること」、もう1つは「そこから新しい治療薬が見出される可能性があること」です。論文の解説も掲載していますので、詳細は以下をご参照ください。
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NTRK/ROS1融合遺伝子のある転移性膵臓癌患者に対するエントレクチニブの臨床的有用性
Abstract No:521
著者:Michael J. Pishvaian, Christian Diego Rolfo, Stephen V. Liu, Pratik S. Multani, Edna Chow Maneval, Ignacio Garrido-Laguna
背景:生存率の改善を示した膵臓癌に対する化学療法の最近の改善にもかかわらず、奏効率は50%未満のままである。特定の実用的な分子変化を有する膵臓癌の異なる分子サブグループが最近同定された。これらには、受容体型チロシンキナーゼNTRKおよびROS1の融合遺伝子が含まれる。エントレクチニブは、CNS活性で強力かつ選択的なTRKおよびROS1阻害剤であり、NTRKまたはROS1融合を有する局所進行性または転移性固形腫瘍を有する患者において実質的な臨床活性を示した。(Drilon A, et al. Cancer Discov. 2017;7[4]:400-409).
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AACRの雑誌 CancerTODAYの記事ー「標的化学療法」より
「Targeted Chemotherapy(標的化学療法)」 FALL2018号/Vol.07
Sue Rochman著
2018年9月25日
ほとんどの癌患者は化学療法を含む治療計画を立ててもらいます。患者が受ける化学療法の薬の多くは、何十年もの間一般的に使われてきた細胞障害性抗がん剤です。これらの治療法は、しばしば人々の生命を延ばすことができるので、提供され続けていますが、それらの抗がん剤をより効果的に使用する方法がある可能性があります。カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHelen Diller Family総合がんセンターの計算および分子生物学者、Sourav Bandyopadhyay氏は、がん細胞内の生物学的ネットワークががん治療が腫瘍の反応に与える影響を研究しています。
Bandyopadhyay氏のチームは、2018年4月17日のCell Reportsに、患者の腫瘍の遺伝学を分析することが化学療法に対するよりターゲットを絞ったアプローチにつながる可能性を示唆する研究を発表しました。 Cancer Todayは、Bandyopadhyay氏の研究と、なぜ従来の細胞障害性抗がん剤を使用する伝統的な治療法を再考することが重要なのかについて話しました。
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