AACR:標的困難ながん(KRAS遺伝子変異)に対する新薬
AACRニュース:標的困難ながん(KRAS遺伝子変異)に対する新薬
New Drugs for an Elusive Cancer Target
2020年1月23日
著者:アンナ・アズボリンスキー
膵臓がん患者の90%以上にはKRAS(ケーラス)遺伝子変異があることが知られている。しかし、いままではこのKRAS(ケーラス)遺伝子変異による癌細胞の増殖をおさえる薬をつくることは難しい(Undruggable)といわれてきた。しかし、KRASを対象とする治療薬の開発がいま急ピッチで進んでいる。
腫瘍内科医であり、肺がん専門家のロイ・ハースト先生が異常KRASタンパク質を標的とする治療薬に関して初期データについて次のように述べた。
多くのがんに見られる発がん性遺伝子のひとつに、KRAS変異というものがある。KRAS遺伝子とは、細胞増殖のシグナル伝達の核となっているものだ。しかし、このKRAS遺伝子変異の治療薬は創薬が困難とされてきた。だがこのほど、2種類のKRAS阻害薬がヒトの臨床試験により有効を示し、腫瘍が縮小したことが報告された。